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2020年02月18日15:18

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ウルトラマンが来た、その5

「だって、君だって裕福そうじゃないか」
「あのですね。初代のウルトラマン。地球のためにあれだけ努力してですよ。昼間は普通に働かされていたんですよ。人間の形状を保てるって、それだけの理由でですよ。酷いと思いませんか。そんなことだと分かっているなら、変身してアヒルにでもなっておけばよかったんですよ」
 なるほど、筆者の記憶通りでいいなら、確かにウルトラマンはウルトラ警備隊というところで普通に勤務していた。いや、けっこう、こき使われていたように記憶している。
「でも、それは地球人の身体を借りていたからじゃないのか」
「何を非科学的なこと言ってるんですか。身体を借りるって、霊体でもないのに、そんなの無理ですよ。そういう話のほうが親しみやすかろうってテレビ会社の案ですよ。いや、親しみやすいってことを理由に、昼間も働かせる地球人の魂胆ですよ。そのくせ、ガメラやギャオスは優遇しちゃうんですからね。怪獣保護法って、おかしくないですか。それならウルトラマンだって怪獣ですよ。そもそも宇宙生物で知性があるのに怪獣って、おかしいでしょ。本人たちだって、自分たちは人だって言ってますしね。そのくせ、保護って言われると、あいつら怪獣になっちゃうんですよ。そうすりゃ働かなくていいからですよ。働かせたほうがいいですよ、あいつら」
「それはそうかもしれないが、君はそんなことを言いたくて、ここに来たのか」
「あ、違います。すみません。あいつらのこと考えると、つい我を忘れてしまうんですよ。ああ、そうだ。これ、ウルトラ饅頭。これはこのままどこかにお土産で持って行くといいですよ。けっこう人気ですからね。もっとも、作ってるのは東京の足立区ですけどね」
 お土産にはよくある話だ。だいたい、どこの星からでも饅頭は運べないだろうし、重要なのは饅頭一個一個に押されたウルトラマンの顔だし、パッケージなのだ。いや、同梱されているウルトラマンシールなのだ。
「これはこれで、ありがたいんだけど、それで、君が来た理由は何なのかなあ、まさか、お土産持って遊びに来てくれたというわけでもないんだろう」
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