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2019年10月22日14:56

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三文ポルノ礼賛、その2

「いいように利用されているだけだって言うんでしょ」
 美人とは言い難いが、しかし、小さな身長が愛らしい女の子だった。女の子だったと言うが、その当時の若い筆者よりは五歳か六歳上だったと記憶している。男に騙されるようにして風俗嬢となり、さらに騙されるようにして、安いポルノ雑誌のモデルをするようになり、さらには、SМパーティのかなり残酷に扱われるところのモデルにもされていた。
「こんな女が利用出来るならすればいいのよ」
 都合のいい女という言葉が少しだけ流行していた。彼女は、まさに、そうした女だった。誰とでも寝てしまう。相手の望むことなら、それがSМだろうが、スワッピングだろうが、乱交だろうが、スカトロだろうが、野外露出だろうが、応じてしまう。もちろん、お金も貢いでしまう。
「寂しいし、悲しいんだよ。でもね。利用されなくなるより、利用価値がないって思われるよりはいいだよ。それでいいんだよ、私は」
 そう言えば、彼女と酒を飲むのは、いつもラブホテルだった。ラブホテルにジンとコーラを持ち込んで、お菓子を摘まみに酒を飲んだ。そう望んだのは彼女だった。そのほうが相手の男がしたくなったときに面倒がなくていい、と、彼女はそう言っていた。ようするに、彼女はセックスさせるのはいいけど、そのためにお酒を中断するのが嫌だと言うわけなのだ。飲み屋でなくラブホテルで飲んでいればそれがないからいいと言うのだ。そんなところも男にとっては都合がいい女だったのであろう。
「子供の頃から、こんなだから、まったく勉強出来なかった。性の知識しか増えなかったんだよ。仕方ないでしょ。でも、それで困ってないんだから、いいでしょ」
 何がいいのか分からないが、しかし、まさに安い女なのだ。それこそ三文さえ要らないような女だったのである。
「だからね。ポルノ小説も読めないんだよ。漫画でもいいって言う人いるけどね。漫画にだって漢字が出て来るんだよ。テレビだって、分からないことばかり言ってる。だからね。こうやって話は他人に聞くのがいいんだよ。皆、喜んで説明してくれるんだから」
 そうして、たくさんの男や女たちに利用され、彼女はたくさんのことを教わっているようだった。漢字は本当に読めないようだったが、しかし、頭が悪いようには筆者には思えなかった。
「私だってポルノ小説読みたいし、本当は、書きたいことも、たーくさんあるんだよ。でも、読めないし、書けない。だって、ポルノ小説は難しいんだもん」
 三文の価値もない女の性。しかし、まさに彼女の人生が三文ポルノ小説のようだった。だからこそ、筆者は、彼女を書きたいと思ったのだ。あまりにもリアリティのないリアルな話は、三文ポルノでしか書けないだろうと思ったからなのだ。しかし、作ることをしなかった。だからこそ、今だからこそ、三文ポルノ小説を復活させてみたいのだ。彼女よりも性が安くなったかもしれない、こんな世の中。だからこそ……。
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