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2019年10月18日14:39

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ゆるゆると次の企画に、その5

 エロ業界に活気があった頃、あの頃、同時に、エロ業界は不幸で満ちていた。おかしな話かもしれない。不幸と活気が共存していたのである。エロ業界は、性風俗も、雑誌も、儲かっていた。景気がよかったのだ。しかし、雑誌のモデルの女の子たちも、風俗嬢たちも、ものすごく暗かった。マニアたちの秘密パーティもたくさんあった。しかし、どこのパーティもそれは暗いものだった。
 性風俗も、ポルノ産業も、儲かっていたはずなのに、そこで働く人たちは常に貧乏だった。実際にお金がなかったからではない。お金はそこそこにあったはずなのだ。風俗嬢たちの中には一日の稼ぎが十万円を超える女の子たちもいた。その女の子たちを利用していた男たちだって、同じように稼いでいたはずなのだ。それなのに貧乏だったのだ。皆、借金に追われていた。借金があるから貧乏だったというのもそうなのだが、何よりも、どんなに儲かっても、皆がその日暮らしをしてしまうというところに問題があったのだ。風俗嬢の中には電車に乗れないという理由でタクシーでどこにでも行ってしまうという女の子もいた。一人でいるのが寂しいという理由で一晩で十万、二十万を使ってよく知らない人たちにご馳走しまくる女の子もいた。もちろん、ギャンブルもあった。ホストやホステスに貢ぐ者たちもいた。
 恋愛に金を使う者たちもいた。
 稼げば稼ぐほど、誰もが貧乏になって行ったのだ。
 そんなたくさんの矛盾した不幸を筆者は見て来た。たくさんの詐欺もあった。詐欺で儲けた金を詐欺で失う者たちも、たくさん見て来た。
 不幸がそこにあったから、エロ業界は活気に溢れていたのだ。
 そんな不幸について書いて行くのはどうだろうか。たとえば「不幸という蜜」と、そんなタイトルで、あの時代にあった不幸話から、あの時代そのものを振り返るのだ。ちょっと気取って「報われない努力」とか「堕ちた幸福」というのもいいかもしれない。
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