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mixiユーザー(id:2938771)

日記一覧

 あれは筆者が二十代の後半の頃だったと思うのだが、あの頃は何しろ生活が大変で、記憶は錯綜している。十万、二十万を財布に入れて遊んでいたかと思えば、千円札一枚なく、仕事もないのに出版社の弁当の時間に居合わせ、弁当だけとってもらうという生活をし

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 ストーリーは覚えていない。何しろ、文庫本サイズで四ページ程度だったのだから、そもそも、ストーリーなど把握しようもなかったのだ。 ただ、いくつかの記述を覚えている。『‎誰にも見られたことのない場所。誰にも触われたことのない場所。お医者

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 あれは中学三年の時だった。音楽室に授業のために入ると、いくつかの机の上には、まだ、前の授業の後、ピアノの前でおしゃべりをしていた女の子の荷物が残っていた。筆者がその内の一つに座ると、慌てたように駆け寄って来て簡素な机の上に置かれていた、ノ

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 文学小説や映画、漫画でさえも、印象的なシーンというものはタイトルと共にあるものだ。ごくまれに、どこかで見たあんなシーン、どこかで聞いたあんなセリフ、どこかで読んだこんな文章というのがある。ごくまれにあるものなのだ。 ところが、これがエロと

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 ガメラは大好物の羊羹さえ、あまり食べないままに帰って行った。 書こう、筆者は思った。 楽しく酒を飲んで笑い合える相手なら、いくらでもいる。意味のない会話で笑い合える場所なら、いくらでもある。しかし、深刻に語り合える相手は少ない。意見をぶつ

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「昭和の頃のポルノの中には、ワイセツよりも、もっと別のものを描こうとしていたものが多いよな」 羊羹を小さく切って口に入れながらガメラが言った。いつもなら、一本の羊羹を切りもせずに、そのまま齧りつくのに、やはり、今夜のガメラは、会話を優先して

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 ガメラは筆者の勧める酒の誘いに応じることなく、ただ、お茶と羊羹だけで筆者が何を書くべきか、その企画について考えてくれた。 ガメラたちは地球上にただ一つの生命として生きている。彼らは常に孤独なのだ。しかし、孤独だからという理由で誰かに助けを

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「地球人のポルノというのが羨ましことがあるんだよ」「ああ、お前にはエロスがないんだろうなあ。だって、種の保存がないんだからなあ」「お前なあ。一度、俺の甲羅の下に入れてゴリゴリしてやろうか。お前なんか、ひき肉になるんだぜ」「そりゃ嫌だなあ。漫

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「企画を考えてくれるのは有り難いが、しかし、エロなんだぞ」「それじゃあ、なにかい。俺っちにはエロは分からねえとでも言うのかい。見損なってもらっちゃ困るなあ。こっちは古代からよお、日本近海に眠っていて、昭和の中頃には、人間の姿で、東京なんぞに

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「おい」 ギャオスと入れ替わるようにガメラがベランダに降りた。何やら慌てている。まるで幽霊でも見たような顔だが、アイさんが来ている様子はない。それに、アイさんに驚くようなガメラでもない。「どうした。何か亀がひっくり返されたような顔してるが」

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「お前さあ。嫌われ者でいいんだろう。星の人たちにも、家族に対しても嫌われ者でいいんだろう」「そういう役割りがいるんだからな」「だったら、ただの我儘で帰りたくないでよくないか。何とでも思え、何とでも言え、でも、俺は帰らない、と、それで、なんて

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「そうだよな。ようするに、俺が‎星に帰らないためには、どうすればいいか、その相談だもんな」「お前が星に帰るのかどうか、その相談じゃなかったかな」「帰らないよ。だってよお。お前たち、俺が帰ったら、もう、ずっと俺の悪口言い続けるだろう」「

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「あ、忘れてた」 もう夜も深いというのに、筆者は声を上げてしまった。「な、なんだよ」 ギャオスが驚いて畳んだ‎羽根に首を入れて隠れてしまった。ギャオスよ、それ、ガメラに似てるんじゃないかなあ。お前は、首を甲羅に引っ込めるガメラが卑怯だ

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「文明が‎高度に進むとさあ。人の考えって似たようなものになるんじゃないのかなあ。たとえば、同じドラマ観て、同じニュース聞いて、同じ物を食べるようになるわけだよな。文明がなければ、土地によって観るものも、聞くものも違うわけだよな。インフ

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「ウルトラマンはさあ。地球の女にもモテたいんだよ。あいつらさあ、そういう意味で決して良いヤツじゃないぜ。だってモテるんだからさあ」 ギャオスはモテるのは悪で、寂しいのは善だと考えるところがある。そして、この考えは揺らがない。ギャオス自身が言

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「あのさあ。日本には焼肉屋があって寿司屋があって、ケーキ屋まであるだろう。コーヒーだけ飲む店まであるんだよなあ。でも、俺の星には、日本で言うところのファミレスしかないんだよ。まあ、そこに行けば、焼肉も寿司もケーキもコーヒーもあるんだけどな。

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「帰りたくない。それはそれで本当のことなんだ。‎王様になりたくない。それも本当のことだと思う。でも。何よりも、俺は、今、地球人から学ぶべきものがあるって思っているんだよ。これも本当なんだよ」 羽根を上手に使ってギャオスはザッハトルテを

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「ギャオスってさあ、頑固なんだよ」「え、お前がそれを自分で言っちゃうんだ」「だってよお。実際、そういう生き物だから仕方ないんだよ。俺たちはよお。最初に信じたものを絶対視しちゃうんだよ。ガメラは敵、それはもう一生拭えないんだよ」 そうだろうか

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「俺は王子だし、王様になるべきなのかもしれないよ。でもよお。俺は俺の星の制度には馴染めないんだよ。おかしいだろう。いつもなら、地球人の悪口を言うんだけどよ。本当は俺、自分の星があまり好きじゃないんだよ。いや、好きだよ。自分の星だからさ。自分

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 左右の大きく黒い羽根を畳み、その中央に出来た窪みに嘴を乗せると、三角形に近い頭の平たい頭頂以外には、何も見えなくなってしまう。その頭を上下に小さく揺らすと、なんだか表情のないギャオスだが、相当に悩んでいるのだと分かるのだから不思議なものだ

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「どうした。心配ごとでもあるのか」「食欲ないんだよ。小さくなったろう。俺、言ったよなあ。星に帰ると王子なんだって。あれ、嘘じゃなかったんだよ。俺たちの言うこと、たいてい嘘だけどよ。あれは嘘じゃなかったんだよ」 あいつらの言うことは、たいてい

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 夜中だというのにカラスが鳴いて飛び立つ音がした。野良猫が鳴き、遠くに犬の遠吠えも聞こえた。筆者の家は安普請ではあるが、しかし、窓はサッシだ。そのサッシがガタガタと揺れた。来たのだ。あの男が。 不器用なノックの音がベランダのガラスから聞こえ

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アイと万次郎、その12
2020年03月08日15:17

「あんた、ちょっと困っているんでしょ。ここが特殊な空間になってしまって」 アイさんはウルトラマンに背を向けてベッドを背もたれにした筆者の左側に座り、筆者の左半身を背もたれにして言った。アイさんは美しい。実際の年齢がいくつなのか、実際の年齢と

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アイと万次郎、その11
2020年03月07日00:57

「正直に告白するとね。次郎の星って、もっと、もっと保守的で男尊女卑の星だと思っていたのよ。男は女を守るもの。女は、闘って帰って来る男に安らぎを与えるものってね。そうなっていると思っていたのよ。だって、ウルトラマンだから」「マンは男のマンだと

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アイと万次郎、その10
2020年03月06日01:05

 自分を信じることと、自分にしか興味のないことは違うのだろう。アイさんは、自分の信じるところを伝えたい一念で存在しているのかもしれない。自分を知ってもらいたいとか、自分のことを認めてもらいたいとか、自分について覚えておいて欲しい、注目して欲

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アイと万次郎、その9
2020年03月05日00:58

「せっかくなので、アイさんに質問してもいいでしょうか」 ウルトラマン次郎が三人分の食器を洗いながら、背中を向けて言った。アイさんに面と向かっては言う勇気がないのかもしれない。「なーに、改まって」「アイさんは、本当は恨みでこの世に彷徨っている

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アイと万次郎、その8
2020年03月04日00:43

「夜中にこんな会話していると空腹になるものでしょ。ええと、あら、いろいろ充実しているのね」 アイさんは勝手に冷蔵庫を開け、中を見ながらそう言った。アイさんにとってこの部屋は時空間を超えた存在のものたちの共用スペースのようなものなのかもしれな

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アイと万次郎、その7
2020年03月03日01:12

「夜中にこんな会話していると空腹になるものでしょ。ええと、あら、いろいろ充実しているのね」 アイさんは勝手に冷蔵庫を開け、中を見ながらそう言った。アイさんにとってこの部屋は時空間を超えた存在のものたちの共用スペースのようなものなのかもしれな

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アイと万次郎、その6
2020年03月02日00:11

「兵士というのは個人の考えで動かないほうがいいんですよ。突撃と号令があったらまっしぐらに走ったほうがいいんです。思考力の高い人間より犬の軍隊のほうがいいし、何よりもマシーンがいいわけですよね。皆が同じように行動するのは兵士として、あるいは奴

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アイと万次郎、その5
2020年03月01日20:54

「素晴らしい」 パックをとってウルトラマンはようやくアイさんの淹れたコーヒーに口をつけた。「何が素晴らしいの、自分の意見でも絶賛するつもり」「まさか。このコーヒーですよ。やっぱり、アイさんの淹れたコーヒーは香りもコクも違いますよ。味が美人な

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