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日記一覧

 いよいよ暑さも過ぎたところで、夏の終わりにホラーというのはどうだろうか。もちろん、夏は終わっているのだからホラー雑誌の仕事で関わったようなホラーの話を書くつもりはない。ゆえに、幽霊もタイムスリップも超能力も占いも祟りも出てこない。あるのは

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 人間といういものは、短い文章を読んだり書いたりいていると、集中力がなくなり、深くものを考えたり、試行錯誤して結論を得ようとしなくなってしまうものなのだ、と、その考え方を筆者は信じている。ところが、この論文が書かれたときの短い文章というのは

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 朗読と、言われると、筆者は、いつも少しばかりの、ためらいを持つ。自分の作品を自ら読むことには遠慮がいらない。しかし、他人の著作を読むとなると、どこを切り取るべきなのか、そこで悩むのだ。何の権利で、どんな理論で、その部分を抜粋するのか、と、

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 作家というものは自分の熱情に他人を巻き込む人たちだと筆者は考えている。作家そのものもそうなのだが、その作品でさえ他人を巻き込んで行く。 では、編集者とは何か。筆者はこう考えている。編集者というのは、他人の熱情に自分を紛れ込ませて行く人たち

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 筆者は、何でもいい、と、そうした考え方が嫌いだ。何を観たい、何をしたい、何が食べたい、それがはっきりしないなら行動したくない、生きている目的がないなら、いっそ死にたい、と、そう考えている。人生は妥協だとも考えている。たとえば、毎日、美味し

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 お金なんか要らない、どうでもいい、そんなことを言えるのは生活に、よほど余裕のあるお金持ちだけだと思うことだろう。しかし、明日食べる物にさえ困っているような時でも、筆者は何度となく、お金なんか要らない、お金なんかどうでもいいから、いい仕事を

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もぬけの殻、おわり
2020年09月15日00:36

 どの話も、まだまだ、書きたいことが多くあった。こうした場所ゆえに、一回二千文字、二回を限度と考えているのだが、四千文字ぐらいでは、どの話も書ききれるものではなかった、と、六話を書き終えた今、つくづく反省している。なんだか、話は、ギャランテ

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 気が付くと、筆者は豊満な肉体の上にいた。倉庫代わりの部屋は、まだ、若い筆者には似合いだったが、元経理のおばちゃんには似合っていなかった。それでも、筆者たちは身体を重ねていたのだ。不思議な気持ちだった。温泉旅行は、二人が共に温泉好きだと分か

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もぬけの殻、その6の1
2020年09月13日01:08

 膝が抜けた。もぬけの殻となった大きな事務所を眺めた瞬間に、膝がなくなったような感覚になって、そのままコンクリートの床に膝をついた。なくなった膝で立っているという不思議な感覚となった。五百万円近いお金がその一瞬で消えてしまったのだ。悪いこと

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もぬけの殻、その5の2
2020年09月12日17:01

 企画を修正し、本に出来るというあてもないままに取材を重ねていたインタビューのカセットテープの整理をはじめた。まずは、すでに揃っている性犯罪者たちの整理をして、足りないものについて、さらに取材を進めるつもりだった。幸い、倉庫代わりにしていた

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もぬけの殻、その5の1
2020年09月11日00:49

 社員十数人。大きな事務所に倉庫まであった。弱小出版社ながらに、かなり力があるように見えた。少なくとも、一年二年でつぶれるとは思えなかった。事実、筆者がかかわるまで、十数年、その会社は続いていたのだ。 すぐにつぶれるようには思えなかったが、

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もぬけの殻、その4の2
2020年09月10日15:48

 恋愛感情のないまま互いの性を受け入れるという生活は、性的にノーマルでない筆者には夢のような生活だった。その女は、まるで男のように振る舞うのに、オナニーのときだけは女にもどり、全身をマッサージのようでいいから撫でていて欲しいなどと要求したが

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もぬけの殻、その4の1
2020年09月09日00:50

 壁に数丁のライフルとピストルが掛けられていた。その下には細長いテーブルがあり、その上には大小さまざまなダガーが並べられている。ライフルは模造だろうが、ダガーは本物にしか見えなかった。部屋は六畳と三畳しかないのに、その三畳間には簡素なトレー

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もぬけの殻、その3の2
2020年09月08日01:09

 夫婦の睦言を聞かされるのは、‎週に一度か二度、それは楽しみでこそあれ苦痛ではなかった。二十代の筆者に四十代の奥さんはかなり高齢に思えたが、それを引いても彼女は十分に魅力的だったからだ。 いつか夫婦の秘め事に誘われるか、あるいは、旦那

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もぬけの殻、その3の1
2020年09月07日16:08

 写植屋という職業があった。今もあるのかもしれないが、最近は見ないし聞かない。見ないというのは、写植という文字は、けっこう街中でも、多く見られたからだ。活版印刷が電算写植に変わり、DTP時代に移行する、その僅かな間にあった職業なのだ。 本は

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もぬけの殻、その2の2
2020年09月06日23:49

 やられた、と、そう思って、最初に浮かんだのは、お金のことではなかった。印刷屋に入稿するための全てがそのカギの替えられたドアの向こうにはあったのだ。窓から入ることも考えたが、カギを替えたのはおそらく不動産屋だ。強引に入れば、それはどう考えて

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もぬけの殻、その2の1
2020年09月05日02:25

 彼は胃薬を片手に、いつも頭を抱えていた。帳簿を見たり、通帳を見たり、伝票を見たりしては、ため息を漏らしていた。それを繰り返す間、飲まれそうで飲まれない彼の左手の胃薬は、彼の口元と机の間を、‎上に下にと移動していた。そして、ときどき、

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もぬけの殻、その1
2020年09月04日01:33

 やっぱり、と、そう思った直後に考えるのは、誰の世話になるか、どこで食べるか、どこで寝るか、そんなことだった。 一冊の雑誌製作を弱小出版社から請け負うと、たいていは、そこの会社の事務所のカギが預けられた。会社員は定時出社で定時退社するが、編

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次の企画まで、その6
2020年09月03日15:06

 ストレスは、それに晒されている間よりも、それから解放された直後が怖い。性風俗業界でも、過去、何度となく、大きな自粛ストレスに晒された。その解放直後、性風俗業界は、行き過ぎたワイセツで検挙される件数が増えた。表現も、行き過ぎていたりした。未

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次の企画まで、その5
2020年09月02日00:55

 今でも、アダルトビデオのいくつかは、古いエロ本の伝統の嘘を引き継いでいるようだ。時間を止めるとか、憑依してエッチとか、まあ、そこまで極端でなくても、近親相姦とか、学校、会社モノなど、嘘が多い。ところが、肝心のエロ本のほうは、リアルばかりを

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次の企画まで、その4
2020年09月01日00:59

 こんな実験がある。 模様のない壁の一つに一点のシミがある。部屋には六人の人間がいる。ある議題について話し合いをしてもらうという企画のために集められた、と、六人の内の一人だけが聞かされている。他の五人は実験の趣旨を知らされている。 三十分の

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次の企画は、その3
2020年08月31日00:08

 先日、私用があって、新守谷という駅の東横インに一人で泊まっていた。ホテルは駅前だというのに、夜になると歩いている人もいなかった。ホテルそばの若い人をターゲットしたようなパブのチーズは美味しかったのだが、お客がまばらでは長居が出来なかった。

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次の企画まで、その2
2020年08月29日01:14

 最近は、どうにも退屈な世の中になった。何もかも面白くない。書く気力どころか、どこかに行く気力も、食べる気力も減少している。身体の半分が鉛になったような気分なのだ。半分鉛では何をしても楽しくないし、鉛の部分は身体のお荷物なだけで衰えた腹筋よ

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次の企画まで、その1
2020年08月28日01:06

 筆者はこんなふうに考えている。人間にとって、もっとも快楽の大きなもの、それは成長なのではないか、と。だから人間は子供の成長を見ることが楽しいのではないか。音楽もスポーツも、その他の趣味も、成長しないままに楽しいということはないのではないだ

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「ここの支払い、本当に出来るの。ここのケーキは、ちょっと特別な値段なのよ。別に、私が払ってもいいのよ。あのね。特別な物は特別な人としか食べたくないの。分からないでしょ。この感覚が」 六本木のお洒落なカフェだった。たかがカフェの支払いぐらい出

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「料理って、男が作るものでしょ」 SМクラブの慰安旅行のようなものには、しばしば、誘われたものだった。筆者が会社員ではないために時間が自由だと知っている上に、取材用の車を持っていることも知っているからだったのだろう。車を持ってフリーなのはカ

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「食の趣味の合わない人とはセックスの趣味も合わない。そんな当たり前のことに意外と気づいていない男が多いのよ」 そう言いながら長い髪を揺らしてシャンパングラスを傾けたママの深紅のロングドレスの下は全裸だった。どうして全裸と分かるのかと言えば、

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午後二時の官能、その9
2020年08月24日00:15

「最高の食事はセックスを忘れさせてくれるし、最高のセックスは食欲を忘れさせてくれるのよ」 その女のプロポーションは最高だった。別にプロのファッションモデルの裸を生で見たことがあるわけではないのだが、それに劣らない、と、筆者は勝手にそう確信し

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午後二時の官能、その8
2020年08月23日01:14

「栄養補給と食事って違うものですよね」 カロリーメイトを齧りながら、その男は言った。真夏の午後二時。SМクラブの受け付けの小さな事務机を挟んで筆者とその男は座っていた。四畳あるかないかの小さな部屋。同じビルの別の部屋に女の子たちの待機室とプ

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午後二時の官能、その7
2020年08月22日01:32

「わざわざ来たから美味しいんじゃない。この空気、この店、ここの水、全てが味なんじゃない。そして、食べ方、誰と食べるか、何もかも拘って、滅茶苦茶面倒だから美味しいんじゃない。かんたんな食事はね。食事じゃないの。餌なのよ」 午後二時。筆者はSМ

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