院展名古屋展を観た後、古川美術館に行った。
「藤森兼明 −人を魅せる技」という展覧会をやっていた。(12月17日まで)
「古川美術館では、現代洋画界を代表する藤森兼明の世界をご紹介します。
1935年富山県砺波市に生まれた藤森は、金沢美術工芸大学油彩科にて高光一也に師事し、就職を機に名古屋に転居、現在まで日展、光風会を主として活躍しています。人間の内面を人物画に投影した精神性の深い作風は高い評価を得ており、2004年日展にて内閣総理大臣賞受賞、2008年には日本藝術院賞を受賞され、同年日本藝術院会員に就任されました。現在は日本藝術院会員、日展顧問、光風会副理事長を務めています。」・・・チラシより
藤森兼明氏と言えば、日展で お馴染みの画家であり、アドレーションシリーズが 印象に残っている。
独特の背景の絵の具の感じがある。
美しい女性の背景にヨーロッパのビザンチン聖堂の宗教画の聖人が描かれている。
古川美術館で 藤森氏の映像があったが、46分くらいの長い映像だったので、全部を観ている時間が無くて、一部観た。
それによると、彼は 富山県の美術系の高校を卒業し、金沢美術工芸大学の油絵科に入学。
学生の時に日展に入選したが、父親が亡くなり、就職。
仕事の関係で 何年かアメリカで暮らした時は、絵を描いていなかった。
帰国後、画家を目指すことになり、39歳の時に日展に再出品した。
という経歴の持ち主で、画家としての出発は 39歳からという遅咲きであった。
「子供の頃から絵を描くのが好きで、友達と遊ぶよりも絵を描くのが好きだった。」と、映像の中で話していた。
展覧会では、高校時代に描いた自画像、大学時代に描いた自画像から展示されていた。
自画像の次には 奥様をモデルに描いた絵が続き、お子様をモデルにした絵もあった。
デッサンが多く展示され、きっと素早く描いたのだと思われる作品でも その人の特徴を良く捉えていて凄いな!と思った。
映像によると、アメリカにいた時に 洗礼を受けたという。
それで、キリスト教の荘厳な感じがする絵を描いているのだと分かった。
「祈り」がテーマだと言っていた。
2階の展示室には シンセサイザー奏者の喜多郎の曲が流れ、また喜多郎を描いたデッサンがあったり、日展で展示された「喜多郎シルクロードから天空へのオマージュ」(2016年)もあった。
ヨーロッパの教会の写真も展示されていて、その中にあるテンペラ画などを自分の絵に取り込んでいるんだと思った。
絵の背景に 大理石を細かく砕いたものを絵具に混ぜたりしているということを知った。
それで、あんなに独特の絵になっているのか。
ざらざらした絵の表面は それだったのか。
いろいろ工夫しているんだなあ。と、思った。
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