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2017年04月30日09:28

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映画「近松物語」(1954年) 溝口健二監督

名古屋のシネマスコーレで、「近松物語」という映画を観た。

1954年の白黒映画だった。

何年前だったか舞台「近松心中物語」(蜷川幸雄演出)を観たことがあり、この映画もそういう映画なのかと思って観たが、全然違う話だった。

「近松門左衛門の人形浄瑠璃を元としながらも、現代的で西欧的なスピード感あふれる傑作。
恋に生きる男女が運命と闘う。」と、チラシに書いてあったが、どこが「現代的」なのか 私には分からなかった。

また、「西欧的」とは何だろう?

この映画の描く時代は、江戸時代のようで、大きな商家の奥様のおさんと手代の茂兵衛が登場する。
この当時は「不義密通」は 引き回しの上 打ち首にされた。

不義密通という言葉は 今ではピンとこないが、人の奥さんが不倫すると お家は取り潰しになり、財産は没収された。

映画の冒頭に 不義密通の罪で男女が 縛られて 馬に乗せられ、処刑場に向かう場面が出てきてた。

おさんの実家が金に困って おさんに相談し、旦那にお金を工面してもらうようにしたのだが、断られ、仕方なく 手代の茂兵衛に相談したことから話は始まった。

不義密通とは全然関係ないことだったが、誤解され、ついには不義密通者になってしまう。

二人で逃げていく過程で、愛し合っていき、お互いがいなくては生きていけないというところまで、追い詰められてしまう。

始めは 不義密通ではなかったのに、だんだんそうなってしまった。

何度も捕まったりしながらも、何とか逃げ延びていったが、ついには二人とも捕まってしまう。

最初に観た場面がよみがえったわけである。

二人が引き離されて生きていくよりも死んでいくことを選んだ二人だった。

二人が縛られ処刑場に連れていかれる様子は、二人とも晴れやかな顔をしていた。

それにしても、長谷川一夫という人を初めて映画で見たことになるのだが、彼の顔が 武者人形のように整った顔で、これが昔のスターなのだと思った。

今の役者さんたちとは全然違って、こういう顔の人が昔の大スターだったんだなあ。と、思った。

1954年は 私が生まれるよりも うんと前の映画を 初めて観て、当時 この映画は どんなふうに観客に 見られていたのだろうか。と、思った。

今とは全く違う価値観で描かれている映画で、何だか新鮮な感じがした。

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