白日会展を 案外早く見終わってしまったので、名古屋駅に戻って映画を観ることにした。
シネマスコーレで 1964年の増村保造監督の映画「夫が見た」を観た。
この映画は、若尾文子特集の時にも上映されていたが、観に行けなかった。
丁度 「白日会展」を見終わったら 午後1時半くらいだったので、午後2時からの上映に間に合う。
白日会展を もっとじっくり見ていたら、そんなことは考えなかったが、せっかく名古屋に出てきたのに、午後1時半で 帰ってしまうのはもったいない気がした。
解説文によると、「金、地位、愛、欲望に身を任せる男女の愛憎を増村がスタイリッシュに描き切った傑作」ということで、この昼間にドロドロのものを観るのはどうかと思ったが、この際なので観ることにした。
映画の冒頭で 若尾文子の入浴シーンが出てきて、どんな色っぽい映画なのかとドキドキした。
お風呂から出ると、夫が 「今夜は遅くなる。」という電話。
ずっと夫の帰りが遅くて、一人で寝る夜が続いている。
29歳という年齢で、早く子どもが欲しいと思う妻。
妻は病院にも通っている。早く子どもが欲しい気持ちからであった。
しかし、夫は 仕事人間で、妻のことは全く気に掛けない。
会社の株のことでトラブルを抱え、相手のやり手の実業家の男との対決。
そのやり手の社長の役が 田宮二郎で、なかなか女の扱いも上手な感じ。
その男には10年来のパートナーがいて、その役を岸田今日子が演じている。
なかなか色気がムンムンな感じで、人生を達観している風でもある。
若尾文子は 純粋で 可愛らしくて タイプが違う。
やり手の社長は、株の担当課長の夫が持っている株主リストが見たいので、奥さんを騙して家に入れてもらった。
どこまでもズルい男なのかと思ったら、まさかの展開に、驚いた!
純愛みたいになってきて、最後は 瀕死の状態になるという ビックリの結末!
凄い映画だった!
まさか こういう映画だとは!
印象に残ったセリフは、「あたしとあなたの夢とどっちが大事?」と女が言うと、やり手の社長は 自分の夢を捨てて女の言う通りにしたが、女の夫は「両方だ。」と言い、妻の気持ちを決定づけたことであった。
自分の仕事の為に 妻の肉体さえも利用した男の言うことなのか。自分勝手だと思う。
多分 当時は男性上位で、女の言い分など問題にされなかったのかもしれない。
それが女が はっきりと自分の主張をすることで、新しい時代が開けたと世の中の人々は感じたのではないだろうか。
1964年当時は どんな時代だったのか分からないが、この映画は 一石を投じたような気がする。
ログインしてコメントを投稿する