日本画、洋画を観た後、彫刻に行った。
そしたら、丁度 彫刻の先生の話が 始まるところだった。
せっかくそういう所に居合わせたので、聞いてみることにした。
会員の工藤潔氏であった。
「森の番人」という作品。ひげを生やしたごつい体の老人が左手を目の上に挙げている。
右手は木を握りしめている。
唇はひん曲がっていて、目は 右につり上がっている。
この作品で、原発反対、異常気象、自然破壊を怒っている気持ちをこめている。
自然との共生を願って 作った。
自然の声として、木の上にフクロウを配置させ、森の神を表している。
木の葉の向き、男の膝の向き、手の角度、背中など、全部の向きを 計算しつくして作っていた。
どこの角度から見ても 安定感があるようにしている。
この彫刻は、ブロンズで できているのではなく、プラスチック製。
軽くて、丈夫な素材を漆と日本画の顔料を混ぜたものを 上から塗っている。
ブロンズでできているかと思ったら、まさかプラスチック製とはね。
知らなかった!
私は、そこで、先生に質問した。「これは、小さなサイズの作品を作ったのですか?」
そしたら、「良い質問ですね。そうです。小さなサイズで いろいろ試しました。」と答えてくれた。
私は、平櫛田中の彫刻を観てきて、小さなサイズのものを見たことがあったので、そういうものかな。と、思ったから そういう質問をした。
やっぱりそうか。
「いろんな角度からこの作品を見て欲しい。」という先生の言葉から、来場者は その彫刻をいろんな角度から見て、なるほど。と、思った。
男の小指を曲げた角度にも そういう想いがあったのか!
また、男の足の肉厚さや、踏みしめた力の凄さ。
モデルの人が 腰痛になりそうなくらいの姿勢でやってくれたと聞いた。
また、野山を駆け回っていたような足で、この人で なければ、この作品は出来なかった。
足の指も ぐっと力が入っている。
見れば見るほど、この作品の魅力が あふれてきて、私は この作品の周りを3回 廻った。
ぜひとも皆様にも この作品を ご覧になっていただきたい。と、思った。
「原発反対」を こんなに怒った男の彫刻で 訴えている作者の想いが 凄かった。
これは、作者の話を 直接聞かなければ、分からなかったので、皆様にお伝えしたいと思った。
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