mixiユーザー(id:2892585)

2020年12月02日12:36

49 view

「おもかげ」「わんわん忠臣蔵」など。

◎「おもかげ」
  ロドリゴ・ソロゴイェン監督

スペインの映画。
かつて、6歳の息子が行方不明になったエレナ。
元・夫が息子を旅に連れて行った時の事件だった。
10年後、カフェで働く39歳になったエレナは
フランスの海岸で、息子によく似た16歳の少年と出会う。
少年がエレナに抱くのは恋心?
新しい恋人と、新たな生活を始めようか、
という時だったが、彼女の心はざわめき始めて…。

なんとも切なく、心に迫ってくる映画だった。
海岸の表情や波の音が実に効果的。
長回しが多用される演出も、とても緊張感があって素晴らしい。
再会した元・夫との関係がポイントになっていくのだが、
このあたりの見せ方、展開も、とても繊細で良かったなぁ。
「はちどり」と並んで、個人的には今年のベスト?


◎「わんわん忠臣蔵」
  白川大作監督

1963年というから、私が生まれた年の映画。
長年、見たくても観る機会がなかった作品。
東映の、この頃のアニメーションはホントに素晴らしい。
アイディア満載exclamation
雪の遊園地、ジェットコースターの上で、
虎のキラー(吉良)と犬のロック(大石)の対決になるとはねぇ。


◎「絞死刑」
  大島渚監督

1968年の映画。再会は大学生の時、以来か。
大学生になった長女と観た。
死刑のこと、在日韓国・朝鮮人問題のこと、
国家のことなどを、過激にカリカチュアライズし、
挑戦的に描き出していく映画。
今、観ても刺激的な劇薬映画だなぁ。


◎「ロスト・イン・ラ・マンチャ」
  ルイス・ぺぺ&キース・フルトン監督

2003年の映画。
テリー・ギリアム監督が
「ドン・キホーテ」を制作しようとして、
トラブル続きで苦しみ、断念するまでのドキュメンタリー。
規模は全然違うけど、
伊豆大島のドキュメンタリー映画制作に参加して、
一年間、天候不順に苦しんだことなど思い出したりウッシッシ

人の不幸にこう言うのも何だけど、面白い映画だった。
これから15、6年後に、ギリアムは別のキャスティングで
「ドン・キホーテ」を完成させるわけだが、
こっちのドキュメンタリーの方が面白かったなぁ、
などと言うと、監督に失礼かな?


◎「帝銀事件 大量殺人 獄中三十二年の死刑囚」
  森崎東監督

1980年のテレビ番組。テレ朝だったそうです。
松本清張原作、新藤兼人脚本。俳優陣も豪華。
実際の事件の顛末を淡々と描いていく。
熊井啓監督の映画も、
かつて観たはずだけど、こっちの方が怖い?
こんなに色々な「証拠」が捏造されていくのか。
大島監督の「絞死刑」以上に不条理な世界が、ここに…。
冤罪事件は、そして暴走する国家権力は、やはり怖い。


◎「異端の鳥」
  ヴァーツラフ・マルホウル監督

場所はどこだか明言されていないが、第二次大戦中なのだろう。
場所をはっきりさせないために、
エスペラント語なども使用されているとのこと。
両親から離れて暮らしていたユダヤ人の少年が、
様々な土地で酷い目にあう、という地獄巡り映画。
上映時間は2時間49分…。
なんと言えばいいのやら…。
もの凄い映画体験だった。

過酷な物語だけど、撮影が素晴らしい。
時に溝口健二監督の「雨月物語」のようだったり、
タラ・ベーラ監督の「ニーチェの馬」のようだったり。
虐殺シーンは「炎628」みたいだったりもするけど…。
そして酷い目にあい続ける少年の成長物語であったりも、する。
機会があったら、是非、体験してみていただきたいです。
監督はチェコ人で、11年かけて創ったとか。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する