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2016年03月06日13:33

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リーマンショックの裏側で闘った4人のアウトローたちの悲しい話…映画 『マネー・ショート』

カチンコマイケル・ルイスの『世紀の空売り〜世界経済の破綻に賭けた男たち』を原作にした、リーマンショックを題材にした映画を観ました。難しい経済用語がいっぱい出てくる割には適度な緊張感で楽しませてくれる内容になっていました。

2008年の住宅ローンの破綻をキッカケに世界の金融市場が崩壊した時、ウォール街の巨大金融機関を敵にまわして、大勝負を賭けた4人のアウトローが挑戦する話しです。
そんな驚きの実話を極上のエンターティンメントに仕上げたアダム・マッケイ監督の手腕は素晴らしいと思いました。

信用力の低い多くの低所得者に頭金なしで住宅ローン(サブプライムローン)を組ませた大手銀行と、ウォール街のやり方に真っ向から反発した4人のアウトローたちの、エキサイティングな闘いに改めて拍手を送りましたが…確かにリーマンショックを導いた成金主義のアメリカの金融業界の悪者どもに“ざまあ見ろ”と腹を立てましたが、大金を手にした主人公たちには何か割り切れない感情が残って映画は終わりました。

本当はサブプライムローンの危険性を説いてすぐにでも止めさせたかっただけなのに、それを誰も受け入れてくれなかったために、自分たちの顧客の投資家を守るためにも打って出た、CDSという金融取引で結果的に大金を手にしてしまいます。それは本来の目的じゃないのに…
その割り切れなさに主人公の1人マイケルは、政府にその後も陳情するが逆にFBIに尋問されることになりました。
そしてリーマンショックでアメリカでは800万人の失業者を生み、600万人が家を失いました。その影響は世界各地に広がりました。でも巨大銀行は政府の公金を使って再建を果たし、今では危険回避の保険であるCDSを別名の金融商品として売り出して金儲けをしようとしています。
何か腹立たしいやり方に怒りを覚えました。

映画の主人公は金融トレーダーのマイケルをクリスチャン・ベールが演じ一番初めにサブプライムローンの破綻を言い出します。彼は誰も耳を貸さないので仕方なく、顧客保護のためCDSというサブプライムローンの価値が暴落したときに、巨額の保険料を手に出来る契約を投資銀行と結んだのです。
それを察知した若い銀行マン・ジャレド(ライアン・ゴズリング)は、大手銀行に不信感を持つヘッジファンド・マネージャーのマーク(スティーブ・カレル)に、CDSへの投資を勧めます。
そんな影で個人の若者2人の投資家が、一線を退いていた銀行家のベン(ブラッド・ピット)に力を借りてウォール街への挑戦をするという内容でした。

商売下手で正義感の強いマークをカレルが良く演じていました。CDSを売って儲けるのはやつらと同じになると最後までためらう役どころを…
ベールは片目が義眼のコンプレックスを持つやはり正義感の強い主人公を見事に演じ、今までの殻を破る素晴らしい演技を見せてくれました。

この映画の良いところは、決してリーマンショックで大金を手にした主人公たちの成功談みたいな描き方をせず、いつも苦しむのは何も知らない貧しい人たちに、ツケが回ってくるという事実をシッカリと描いているところです。

“人は間違っているときに、何を間違っているのかが分からないものだ”ということと…
“この世で厄介なのは知らないことじゃなくて、知らないのに知っていると思い込んでいること”というマーク・トウェインの言葉が記憶に残りました。

2015年製作の2時間10分のアメリカ映画でした。ブラッド・ピットが製作人に名を連ねていました。




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