mixiユーザー(id:28433789)

2017年05月02日17:10

449 view

◆海外旅行の性病・伝染病感染リスク、専門医に聞く対策

◆ 海外旅行の性病・伝染病感染リスク、専門医に聞く対策

【ダイヤモンドオンライン】 05/02
木原洋美:医療ジャーナリスト




 大型連休中、海外旅行する人も多いだろう。

そこで、注意すべきは感染症だ。

近年、海外の渡航先で感染し、国内で発症する輸入感染症にかかるリスクは少なくない。

その現状や予防法、対策などを国立国際医療研究センターの忽那賢志医師に聞いた。

(医療ジャーナリスト 木原洋美)





● ラクダで砂漠散策後、発熱したら即隔離


 大型連休から1週間ほど経ったある日、Aさんは発熱と咳で近所のクリニックを受診した。



医師:

 お熱は38.5度ですね、下痢はありますか?



Aさん:

 はい、あります。



医師:

 連休はどこか遠くへお出かけされましたか、海外とか?



Aさん:

 ええ、夫婦で中東に旅行しました。

ラクダに乗って砂漠を散策するツアーです。

素晴らしかったんですがね、まだ疲れがとれません。



医師:

 ラクダに乗られたんですか、中東で。

それはちょっとやっかいですね。



Aさん:

 え、それはどういうことでしょう?



医師:

 中東でラクダに乗られた方が発熱して咳もある場合には、インフルエンザなどの他の病気の確定診断がつかなければMERS(マーズ)の疑いありということで、隔離しなければならない決まりになっているんですよ。

これから保健所に連絡を入れますので、感染症の隔離ができる病院に入院していただくことになります。



Aさん:

 えっえ〜、そんな…あせあせ(飛び散る汗) 



 以上は架空の話だが、「中東でラクダと接触した人が発熱し咳もあり、インフルエンザなどの診断がつかなければ、マーズの疑いありということで人差し指即隔離」というのは本当だ。



 マーズの正式名称は中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome)。

2012年に初めて確認されたウイルス性の感染症で、糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患のある人は重症化する傾向があり、死に至るケースもある。

韓国では対策が遅れ、大流行した。



 ラクダはそのウイルスを持っていることがわかっている。



 大型連休中に海外旅行に出かける人も多いだろう。

だがせっかくの楽しい思い出が、感染症のインバウンドになってしまってはたまらない。



 そこで、感染症に詳しい国際感染症センターの忽那賢志医師に、海外旅行時に気を付けるべき感染症と対策について話を聞いた。





● ジャスティンのライブで麻疹  防ぐには生涯2回の接種を


――マーズ以外にも、渡航の際に気を付けるべき感染症はありますか?


 話題になっているのは麻疹(はしか)ですね。

去年も、ジャスティン・ビーバーのコンサートに行った男性や関西国際空港の職員が感染していたことが判明し、大きな騒ぎになりました。

日本では激減しましたが、東南アジア諸国ではまだまだ注意が必要な病気です。



 日本にも、海外から定期的に持ち込まれています。

人から人に感染する病気で、感染力も強い。

しかも重症化すると死ぬ可能性もある病気なので、注意が必要です。



――予防には、予防接種ですか?


 そうですね、予防接種が一番大事だと思います。

日本でもかかる可能性はあるので旅行者に限った話ではありませんが、東南アジア方面に旅行される方は、事前に接種していただいた方がいいと思います。



――麻疹の予防接種は、子どもの頃に受けている人が多いですよね。


 一応、定期接種で接種されている方もいらっしゃるんですが、30〜40代の男性とかは一回しか打っていない人もいますし、一回も打っていない人もいます。

一回しか打ってない場合は、罹患する可能性があるので、生涯2回の接種が推奨されています。



――他に、心配な感染症はありますか?


 デング熱は、年間200例以上も海外から持ち込まれています。

2014年には日本国内でも流行が起こりましたね。

現在も、持ちこまれている例は多いので、今後も国内で流行が起こる可能性はあると思います。



――デング熱の感染を防ぐにはどうしたらいいのですか?


 今のところ、旅行者に使えるデング熱ワクチンはないので、「蚊に刺されないようにする」ぐらいしかありません。

なるべく露出の少ない服装にして、露出した部分には、虫除けをしっかり塗ることですね。





● 東南アジアの風俗でHIVや淋菌に感染する人も



――性病はどうですか?


 国立感染症研究所が出している週報によると、海外で、例えば東南アジアの風俗に行ってHIVや淋菌に感染した、という人は定期的にいますね。

海外旅行すること事態が、性感染症のリスクでもあると思います。

気の緩みから風俗に行ったり、あるいは旅行中に行きずりの相手と性交したり、というケースは多いようです。



――もしや、と思った時はどうしたらいいですか?


 デング熱は、殆ど場合発熱するので、すぐ病院を受診していただくのがいいですね。

その際、必ず「海外に行きました」と医者に伝えてください。



 麻疹も、発熱に加えて、目が充血したり、咳が出たり、喉が痛いといった症状があります。



 淋菌は、男性の場合は尿道から膿が出ます。

女性の場合は無症状のことが多いですが、オリモノが増えるなどの症状が出ることもあります。



 HIVの場合、半数ぐらいの人が、感染からだいたい4週間後ぐらいに熱が出るといわれています。

高熱が出て、喉が痛くて、下痢をして…といった症状が出ます。


 いずれにしてもやっぱり、海外から帰って熱が出たら早めに病院を受診する、というのがいいと思います。





● 増えているデング熱  年間10例から200例に


――国際交流が盛んになるのに伴い、感染症のインバウンドも増えていますか?


 病気によりますね。

増えている病気もあれば、減っている病気もあります。



 先にも説明しましたが、デング熱は明らかに増えていますね。

20年前は年間10例ぐらいだったのが、現在は年間200例ぐらいになっています。



 一方、マラリアなどは、アフリカでの症例が減って来ているので輸入例も減っています。



――渡航する際に打っておいた方がいい予防接種は?


 いっぱいありますが、短期間の旅行であっても打っておいたほうがいいのは、A型肝炎ですね。

これは食べ物で感染するので…。

また、ケガによって感染する破傷風もお勧めします。



 この2つはたとえば数日だけでも、感染する可能性がある病気です。

また国内でも感染することがあります。



 月単位で渡航するのであれば、B型肝炎ワクチンも。

東南アジアへ行かれるなら狂犬病ワクチン、日本脳炎、腸チフスも打っておいたほうがいいですね。



 あとは麻疹、風疹、おたふく、水痘も、子供の時にしっかりとワクチンを打っている人はいいですが、打っていない人、あるいは一回しか打っていない人はしっかり2回打ってから行ったほうが安全ですね。



――東南アジアは野犬が多いので狂犬病のリスクは高いですよね。


 そうですね、狂犬病は過去10年で2人しか日本人の感染者は出ていませんが、致死率100%の恐ろしい病気です。

長期滞在する人はワクチンを打ち、かつ野犬には近づかない方がいいですね。





● トラベルクリニックで受けられる予防接種や予防薬の処方



――予防接種以外の感染症対策はどうですか?


 例えばアフリカとか、マラリアの流行している地域に行く時には、マラリアの予防薬をお勧めします。

治療薬を現地にいる間毎日、少量飲むことによって、予防ができますので、特に西アフリカとかすごく流行しているところに行く場合は、持参した方がいいと思います。



 それから感染病ではないですが、標高2000m以上のところに行く場合は、高山病になる可能性がありますので、特にこれまで高山病に罹ったことのある人は予防薬を飲むといいでしょう。

だいたい75%ぐらい予防できるといわれていますので、安心です。



――とはいえ、予防接種も予防薬も高額なのでは?


 高山病の薬は安いですよ、昔からある薬で1錠30円位です。

マラリアは種類にもよりますが、一日500円位かかります。

予防接種は自費になりますから、そういう意味では決して安くないですけど、病気になることを考えたら、決して高くはないと思います。



――ですが、海外旅行時に予防接種を受けよう、という人はあまり多くはないですよね。


 そうですね。だから私は、トラベルクリニックの必要性をもっと広めた方がいいと思っています。

渡航前には受診して、予防接種をして、安全に海外旅行を楽しんでいただきたいものです。


◎日本渡航医学会
  学会推奨 国内トラベルクリニックリスト
  http://jstah.umin.jp/02travelclinics/



      ◇◇◇

忽那賢志(くつな・さとし)

1978年12月7日生まれ、福岡県北九州市出身。
山口大学医学部を卒業後、救急医療などの現場で経験を積み、その後、感染症を専門とするようになる。
2012年より国立国際医療研究センター国際感染症センターに勤務。
感染症の中でも新興再興感染症、輸入感染症を専門とし、水際対策の最前線で診療にあたっている。


      ◇◇◇

木原洋美 きはら・ひろみ
医療ジャーナリスト

宮城県石巻市の漁村で生まれ、岩手県の山村で幼少期を過ごし、宮城県の穀倉地帯で少女時代を送る。
明治学院大学在学中にコピーライターとして働き始め、20代後半で独立してフリーランスに。
西武セゾングループ、松坂屋、東京電力、全労済、エーザイ等々、ファッション、流通、環境保全から医療まで、幅広い分野のPRに関わる。
2000年以降は軸足を医療分野にシフト。
「常に問題意識と当事者感覚を大切に取材し、よ〜く咀嚼した自分の言葉で伝え、現場と患者の架け橋になる」をモットーに、「ドクターズガイド」(時事通信社)「週刊現代 日本が誇るトップドクターが明かす(シリーズ)」(講談社)「ダイヤモンドQ」(ダイヤモンド社)「JQR Medical」(インテグラル)等で、企画・取材・執筆を深く、楽しく手掛けてきた。
2012年、あたらす株式会社設立(代表取締役)。
2014年、一般社団法人 森のマルシェ設立(代表理事)。
森のマルシェでは、「木を遣うことが森を守ります」の理念を掲げ、国産材の樽で仕込む日本ワインやバルサミコ酢の開発等、国産材の需要を開拓する事業に取り組んでいる。


News&Analysis
刻々と動く、国内外の経済動向・業界情報・政治や時事など、注目のテーマを徹底取材し、独自に分析。
内外のネットワークを駆使し、「今」を伝えるニュース&解説コーナー。
▲バックナンバー一覧 http://diamond.jp/category/s-analysis
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する