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2021年10月16日23:31

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ここに蘇る「まんが日本昔話」・・・The power of music 「兵士の物語」

朗読の力、言葉の力、それを支えるモダンな音楽の力・・・・何よりも、「人の力」。

京都 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
The Power of Music 〜いまこそ、音楽の力を〜
京都コンサートホール presents 兵士の物語
[指揮]広上淳一
[朗読]茂山あきら(狂言師)
[ヴァイオリン]芝内もゆる(相愛大学)
[コントラバス]才野紀香(同志社女子大学卒)
[クラリネット]久保田彩乃(神戸女学院大学)
[ファゴット]浜脇穂充(大阪音楽大学)
[トランペット]川本志保(大阪芸術大学)
[トロンボーン]野口瑶介(京都市立芸術大学)
[打楽器]清川大地(大阪教育大学)
ストラヴィンスキー:兵士の物語

演奏に先駆けて、京都コンサートホール館長としての広上さんと、プロデューサーの高野さんが登場、「なぜいま<兵士の物語>なのか」についてひとくさり。このコンサートシリーズ(「The power of Music」)が企画されたのが2020年度、コロナ禍が始まって間もないころだったこと、演奏会がどんどん中止になっていく中で次年度のコンサートを企画しなければならないという矛盾した状況、その状況に身を置く関係者たちの疲弊し追い込まれた精神状況・・・・などなど。そのなかで、100年前、同じような(広上さん曰く、「今のほうがずっとましかもしれない」)戦争と革命と感染症パンデミックの恐怖と、それにさらされるストレスの中、「創作された」作品をやることに意味を見出したこと、が語られる。

この作品、やはりなにか「この作品をやること」に意味を見出さないと、やろうとはならないのでしょうねえ。大植さんが、大阪クラシックでこの演目を枠を大幅に超えることがわかっていてもやろうとした時も、世界が「平和の名のものとに」テロとの無差別な戦争に突入していく時だったことを思い出す。

全編をとおして、物語も音楽も意味ありげな寓意をまき散らしながら進み(人を食ったような音楽が、人間の愚かさをこれでもかとデフォルメする)、最後は多くの寓話がそうであるように悲劇的な結末に至る。10数年ぶりに接したこの作品の内容を、ぐすたふくんは断片的にしか憶えておらず、最後に兵士が悪魔の手に落ちるくだりなどはかなり新鮮に聴きました。

しかし、何といっても朗読を担当した茂山さんの表現力が抜群。まさに、「まんが日本昔話」の常田富士男さんのそれを思い出しました。あの番組が成立していたのは、常田さんの語りの力だったのだが、今日の茂山さんの語りも素晴らしかったです。

また、学生のみで編成されたアンサンブルの巧いこと!とりわけ高難度の演奏を強いられるヴァイオリンとトランペットの健闘には、こころからの賛辞を贈りたいです。

ぐすたふくん、しみじみ思いましたね。ここにあるのは、いかなる逆境であっても、そこに生きる人がある限り、人の想いがある限り、その意志のある限り、生の営みとしてアートは無くなることはない、その事実だと。「アート」とは、まさに「生きること」だと。ほぼ満席にまで詰めかけた京都の聴衆(「関西の聴衆」かもしれないが)もまた、それを支える力の源。

これぞ、京都コンサートホールの心意気。帰りに、次の「Power of music」のチケットを買いました。ブラームスの晩年のピアノと、クインテット。まさに「秋の音楽」。

びわ湖ホールばかりに目がいくぐすたふくんだったけど、京都コンサートホールにも目を向けよう、これからはね。


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