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2019年05月19日20:24

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若くて魅力的な指揮者がまた一人・・・京響定期

この人、将来的に常任の客演指揮者になってくれないかしら?

京都 京都コンサートホール 大ホール
京響第634回定期演奏会
カーチュン・ウォン指揮 京都市交響楽団
(コンサートマスター 泉原隆)
ヴァイオリン独奏 ラグンヒル・ヘムシング
曲目等 吉松隆:鳥は静かに...op.72
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調op.47
フランク:交響曲ニ短調

シンガポール出身の1986年生まれの指揮者! 若い!可愛い!

普段ぐすたふくん、プレトークに間に合うことはあまりないのだけれど、今日はたまたま早く着いたので2時からの彼のトークを聞いたのだが、片言の日本語を交えた聞き取りやすい英語で、溢れんばかりの今日の曲目に対する想いを語るその姿に、まず好感。

そして、吉松作品では生命の生成と飛翔を描き(ヴィオラのピチカートを、仲間に囲まれて死んだはずの鳥に鼓動が宿る、と語っていたけど、まさにその通りのドラマ)、そこからアタッカで入ったシベリウス(ソリストがあの冒頭を弾きながら入場してくる!)では、巫女とともに自然=神を賛美する・・・ここまでの演出で、もうぐすたふくん、惚れ込んじゃいましたね。

吉松さんのこの曲、この若い指揮者は「これからの指揮者人生で、なんども取り上げていきたい」と語っていたけれど、本当にこの曲のことが好きで、深く理解しているんだなあ、っていうのがびんびんに伝わってきました。そして、それに吉松さんの心の師匠の曲を組み合わせるっていうのも(当然そのことも知ってるんでしょう)、彼の傾倒ぶりが伺える(プレトークでは、吉松作品最後の調性とシベリウス冒頭の調性の関係から続けて演奏することの妥当性を論じ、それも非常に興味深かったです)。

日本の作曲家を、日本人以外の音楽家がここまで理解して愛してくれる・・・武満徹も多くの海外奏者に愛されたけれど、改めてこんな若い世代の音楽家が吉松作品を愛している事実とその演奏に接して、なんとも言えない幸福感を覚えました。

ただ惜しむらくは、ソリストがこの超難曲を弾き込めるに十分な技量の持ち主とは言えず、三楽章をやや持て余し気味だったのが残念。アンコールで弾いたノルウェーの民族音楽の魅力の方が、ぐすたふくんには上回るように感じました。

いやが応にもフランクにも期待が高まったが、残念ながら、意図は壮なるも重きに過ぎた、という演奏。フランクとブルックナーの共通性、オルガントーンの追求、ということからのアプローチであることは十分にわかったし、(ベース7本を正面に並べた)京響も頑張っていたけれど、ちょっと退屈だったかなあ。僕の周りでも、結構寝てた人が多かった気がする。むしろ、シベリウスで聞かせたような、見通しの良さと推進力でもってこの曲も押し切った方が、聴いていて楽しめたんじゃなかろうか。

カーテンコールも、オケと一緒に深々とお辞儀をするなど、日本人のメンタリティーを鷲掴みにするような礼儀正しさ。昨年から今年、日本各地のオケを色々振ってまわっている模様だけれど、お互い幸福な出会いを経て、末永くお付き合いをさせていただきたいものです。
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