コンサートは蓋を開けて見ないとわからない、と身に沁みます。
大阪 フェスティバルホール
読響第22回大阪定期演奏会
サッシャ・ゲッツェル指揮 読売日本交響楽団
(コンサートマスター 長原幸太)
ピアノ独奏 小曽根 真
ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガ−」第1幕への前奏曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488
ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 作品68
正直、このプログラムを見て、今日京都コンサートホールであるベルチャ弦楽四重奏団のオール・ベートーベンプログラムに行くことを真剣に考えたことを告白しておきます(だって、大好きなaーmollがかかるんだもの!)。結局は、こっちに来たんだけど。
そんなことを考えた理由は、プログラミングだけでなく、指揮者のこれまでの印象がよくないこともある。2016年の京響のラヴェルでは「指揮者のゲッツェルさん、わりとサクサクと振って行く」、2017年の読響の第9では「ゲッツェル氏の指揮と表現は・・・どちらかといえばモダンのそれだけれど、テンポ設定はかなり速め。・・・4楽章なんて各部分ごとに区切るとかタメるいう感じもなく、ほんとにサクサク進んでいく」とまあ、まるで示し合わせたかのように同じようなことを書いてます。
そんな指揮者の振るブラ1、いくら読響と言えども、と思ってしまったのだが・・・いやあ、参りましたね。降参です。正直聞き飽きたかなぁというブラ1で、ここまで胸にくるとは、想像もしてなかった。
確かにテンポは早め。でも、ここぞというところではグッとテンポを落として、そこからグググググッと盛り上げて行く。また、細かいところに注意深く表情付けがなされていて、ハッとするような変化や美しさが煌めきを見せる(2楽章のなんと美しいこと!)。
それを過不足なく重厚かつ抜けのいいサウンドで音にする、ベース八本16型対向配置の読響ストリングセクションの巧さ!その魅力!この音で奏でられるブラームスは、実は世界のどこよりも「正統的」という言葉でもって評されるにふさわしいのではないかしら。また、それを裏打ちするホルンセクションの素晴らしい音!
4楽章再現部からコーダに至るまでは、まさに息もつかせぬ怒涛の展開で・・それを余裕を持って演ってのけるあたり、いやあすごかったですねえ。ひさびさにぐすたふくん、前のめり、拳握りしめ状態、でした。
そんなもので、前半二曲はどっかに飛んで行ってしまった感あり。マイスターは、読響らしからぬ「袋が破けたコンビニのパン」みたいな演奏だし、小曽根さんのイ長調コンツェルトは、悪くはないものの、なんとも言えない窮屈さが居心地の悪さを誘う演奏。でもまあ、聴いている方は好き勝手言うけど、やっぱりこう言うのが音楽の難しさ、なんでしょうね。
来季は日程があまりにも合わないので、会員継続を見送ることにしたぐすたふくん、読響さんとはしばしのお別れです。その代わりと言ってはなんだけど、可能な限り、尾高・大フィルを追いかけることにしようっと。ブラームスチクルスもありますしね。
ログインしてコメントを確認・投稿する