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2020年01月28日11:52

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読書紹介1890●「この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた」

●「この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた」 ルイス。ダートネル著 河出書房新社 15年版 2300円
 猛毒のトリインフルエンザが人から人へと感染し、この世界の文明が消滅した(核による消滅ではない)。残されたインフラ(鉄道、道路、橋、電気等)も、やがて廃墟となって使えなくなる運命にあった。そんな時、生き残った人々が新たに科学文明を興していくのに必要なものを、本書では描いている。
 1番大切なのは食糧である。それには、農業を再建しなければならない。生存者は、もぬけの殻となった世界で再出発する「ロビンソンクルーソー」となるのだ。農業には、肥料として窒素が必要となる。そこで化学の知識が。これまでの科学文明が築きあげてきた技術は崩壊しているので、一から始めなければならない。
 次に大切なのは、農業に費やす労力を省略しなければならない。ドレイ労働からの解放である。これには、熱エネルギーと力学的エネルギーをうまく使いこなさなければならない。当面は畜力を使うにしても、水車や風車の利用から機械的革命を再建しなければ、新たな文明を築く余力は生まれない。
 ということで、やがて発電と配電網を再建し産業化を成し遂げなければならない。本書では、持続可能な農業や建築材料を。それに、復興する社会が大破局後に「より発展した」段階の世代まで、進歩したら必要となるであろう高度な技術などが検討されている。出発点にどんな技術を目指すべきで、どのような中間段階を一足飛びにしてより優れた、ただし達成可能な解決策に達するかを検討しているのだ。
 本書の中で、一度消滅した文明として「古代ローマ帝国」が崩壊したあとに、ヨーロッパがルネッサンスを興すのには、アラブ(イスラム)の知識や技術が必要だったこと。とりわけ、製紙技術が導入されたことや古代ギリシャ・ローマの文明がアラブ人によって翻訳(アラビヤ語)され、再びヨーロッパに輸入され・印刷されたことにより、古代の学問が戻ってきた歴史が振り返られていることが、印象的でありました。

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