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2019年12月09日09:46

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読書紹介1874●「水の通う回路ーー完全版 上」 

●「水の通う回路ーー完全版 上」 松岡圭祐著 角川文庫 2009年版 552円
 人気のゲームソフト「シティ・エクスパンダー4」を操作した小中学生が、全国で200人も異常行動を起こした。発売当初(200万台)から、自殺未遂が70人にものぼった。子供たちは「黒いコートの男が殺しに来る」と、口をそろえていうのだ。中には「プールの中で見た」とか、さらに周りの大人たちも「黒いコートの男」を見たといいだす始末だった。こうして国会議員、文部科学省を巻き込む、全国的なパニックを巻き起こした。
 この事態は、「4」が発売された当日から始まった。問題のゲームを開発販売したフォレストという1兆円企業へ、開発したプログラマー津久井開発部長へと、原因究明の手が伸びていく。ここで、ゲーム会社の競争やそれぞれの会社の理念の違いなども明らかにしながら、「ゲームは音楽と同じで、精神状態を変容させるもの」という、ゲーム全般にもともと備わっている性質について言及されていく。
 やがて、津久井が「黒いコートの男」の幻覚をゲーム内に仕掛けたとの疑惑が浮上する。そのタイミングで、津久井とAV女優とのスキャンダルがメデァに報道され、津久井は姿をくらます。ファレストは存亡の危機に見舞われたのだ。
 ファレストの社長・桐生、津久井の妻で社長秘書の令子、最初に自殺をはかった子供が入院した病院の精神科医及び所轄の刑事が、それぞれの立場で動いていた。しかし、ゲーム内にそんな仕掛けを入れることができるのかは極めて疑問で、原因究明は難航した。同時に、ゲーム作りしか興味のない津久井がAV女優と不倫することも考えられないことであったのだ。
 全てが疑問のままに、上巻は終了。
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