読書紹介1785●「返事はいらない」

●「返事はいらない」　宮部みゆき著　新潮文庫　94年版　514円
　短編6話を収録。「返事はいらない」は、失恋からコンピューター犯罪の片棒を担ぐにいたった主人公・千賀子の心理が描かれる。ATMが導入されたばかりの頃、銀行を59歳で退職することになった男が、ATMの欠陥を糺すべく銀行から2000万円を詐取する方法を考えついた。もちろん金目的ではないので、事後に全額返金することになる。
　千賀子が片棒を担ぐことになったのは、別れ話を言いだした恋人が経済記者で、その銀行の合併とATM導入を絶賛する記事を書いていたからだった。ひと泡吹かせようという訳である。
　ということで、見事この計画は成功し、ATMの欠陥が暴き出される結果となったが、千賀子の周辺に刑事の影が・・・。という物語。