よろめきの染井吉野はくちびるに錠剤ふくむ人妻如く
哀しみと美しさとに耐へかねてしな垂れる桜(はな) ソメイヨシノは
桜花 聖なる華は女優(わざをぎ)のportraitの綺羅の装ひ
聖堂に満ちる櫻は道行(みちゆき)の人形(ひとがた)照らす月夜の美雪
三千歳(みちとせ)の紅(べに)に争ひかねて汝(なれ)染井吉野は手水に沈(しづ)む
振袖の袂(たもと)はさくら 毛氈に散るが如くに大島桜
誰とでもねるのはだれとでも寝たいといふわけではないといふこと
夭折の斎王がごとてのひらを我にさしのべて汝(な)は染井吉野
しろたへの冥土の花は不忍池に漂ふ大島桜
涅色の川面に映ゆる江戸彼岸 天使たたずむ洲崎paradise
撫肩の天使はふたりスカジャンに翅を隠して桜のしたに
しろたへの櫻の花の散る如く汝(なれ) てのひらに満ちる錠剤は
ログインしてコメントを確認・投稿する