店を出る前のまだ我々しかいないときに、お父さんからそっと渡されたものがある。
おっきなおにぎりである。直径はゆうに１０ｃｍを越える大きな味噌おにぎりを、表面をちょいとあぶったもの。
これは、吉例の７月第二日曜日に開催されていた、旧河童祭り、おにぎりの会の記念品？である。お父さんの後輩の店に特注してもらっているものだ。お父さんが、
「ほがの人にわがんねように、しまってしまって」と言いながら、見せてくれた書付には
【じょうれんの人にわたして けらいん】とあった。
毎年この狭い店に５．６０人も全国から集まって安い会費で、昼間から大酒飲んでの交流会。『あがず(赤字）だべ』と言っていたお父さんを思い出す。
６０を迎えた客は、特別【炉端】と入った二合徳利とぐい飲みのセットが送られる。勿論、小生も手にしている。
まだ、ぬくもりのあるようなポケットのおにぎりを触る。外は、まだまだ明るかった。
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