好き「サウナ」

昔読んだラブコメ漫画で、とても印象に残っている告白シーンがある。

中学校の同級生だった男女二人が、互いの距離を縮めていく中で、自分が相手に対して好意を持っているという事をあらわにする場面だった。


確か学校の物置のような部屋に二人で入って、授業で使う道具を探している。

薄暗く、ホコリっぽい部屋の中に、何故か画用紙ぐらいの大きさの鏡が置いてあった。

女の子はその鏡を手に取り、男の子とは逆側を向きながら、道具の探し物を続けている。

目当てのものがなかなか見つからないことを二人でぼやきながら探し続けていると、不意に女の子が男の子のほうに鏡を向けながら振り返った。

そのホコリをかぶった鏡の表面には、指でなぞった文字が書かれていた。

『好きな人いるの？』

キュンとした。


確か『風呂上がり〇夜空に』というタイトルの漫画だったような気がする。

思い出してその場面をネット検索するんだけれど、全然出てこない。

あーれー、別のタイトルの漫画だったかなあ。


その記憶のもとを探り当てたとて、何がどうなるわけでもない。

ただ、自分自身にエスプリを効かせるために、どうしてもネタ元をハッキリさせておきたかったという瞬間があって。

先日、凄く前から気になっていた家の近くに有るサウナ付き銭湯に、ようやく訪れることができた。

その時の気持ち良さを伝える言葉は、これしか思い浮かばなかった。

「風呂上がり夜空は、やっぱり最高だな」