ニューヨークといえば何を思い出すだろう。
私はやっぱり、自由の女神像だ。
観光ルートを事前に色々計画したが、観光初日の最初に訪れる場所として一番に決心したくらい、私にとって象徴的なアイコンである。
像のあるリバティ島へ観光用フェリーで渡り、公園や像の周りを散策したり、チケットを持っている人は像の中の展望スペースまで登ったりして楽しむスタイル。
当然ながら訪れる人は皆、観光客ばかり。
家族や恋人又は友達同士の数人のグループが基本形だ。
あへへ、ボッチはオイラくらいだボッチ。今気づいたけれどちょっと恥ずかしいボッチなぁ。
などとフェリーの中で思っていると、私の座るベンチの列の端に女性が一人で座っている。
見れば彼女も東洋人。
中国の方ではないのは分かるが、韓国の方か日本の方かは区別がつかない。
あまりじろじろ見るのは失礼なので、気を遣って彼女と反対側の景色を眺めていたりしていた。
フェリーがリバティ島に近づくと、像がイイ感じに写る撮影ポイントがあるので、乗客は一気に船の右側へ集まり、一斉に撮影タイムが開始される。
私も自撮りのために外の甲板に出てみると、同じくボッチ彼女も像に向けてスマホを構えていた。
んぬぅん。
よく見ると彼女のスリムジーンズの裾からくるぶしが見えている。
ちょっとマテ。それオシャレでやってるにしても寒くないか。
ちょっとマテマテ。よく見ると手袋もしてないし、帽子もかぶってないし、マフラー類も無い。
なんか長ティーみたいな上着に黒いコート羽織ってるだけじゃない。
どうしたのかな、ニューヨークの朝って、今ってすごく寒いよ。
え、何なの。バカなの。
おかげで、フェリーがリバティ島に着いて島内を散策したり、帰りのフェリーが立ち寄ってくれる観光ルートのエリスアイランド移民博物館を見学したりしてる間中、ずっと、彼女のことが気になってしようがなかった。
『日本人ですか』
『お一人ですか』
『何でそんな薄着なんですか』
『何者ですか』
うわーすげー気ーにーなーるーーーー。
英語が喋れる喋れない以前の問題で、怪しまれるのが怖くて話しかけられなかった。
ハイっ、自由の女神を眺めるよりも、彼女をチラ見してるほうが記憶長い。
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