俺の外来に通院している、ある男性患者。
その人は以前アルコール依存症だった人で、肝臓などに病気をかかえている。
年齢はまだ52歳で、俺より1歳しか違わない。が、見た目は60代後半に見られてもおかしくないくらい老けている。
そう、まさにこれがアルコールの怖さというもの。
以前の研究では、アルコールは適量ならむしろ体にはいい、という研究結果だった。
ワインもポリフェノールがあるから飲みすぎなければ健康のためにはいいんだと言われてた。
しかしこの研究は2000年以前のもの。
その後の追跡によれば、たとえ少量でもアルコールは体によくないということが判明している。
なぜか。
飲酒することにより咽頭や食道粘膜は必ずダメージを受けるから。
たとえ毎日飲酒しなくても、ちゃんと休肝日を設けていても、長年に渡る飲酒は確実に粘膜にダメージを与え続けるのだ。
肝臓が悪くならなくても、咽頭癌や食道癌のリスクは確実に高まる。
俺は酒が飲めないので分からないんだが、酒を飲むと食道がチリチリ焼けるような感覚があるそうで、酒好きの人はその刺激がいいんですかね?
実はその刺激こそが危険なサイン。食道粘膜が損傷受けてる証拠です。
・・・冒頭に書いた患者の老けた姿を思い返すにつれ、酒についてはタバコと同様、今一度見方を改めた方がいいのではと思う今日この頃です。
ログインしてコメントを確認・投稿する