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2021年11月29日19:04

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今明かされる「揺籃の空間」 ( 映画『ジャズ・ロフト』)

『MINAMATA』で再び脚光を浴びた写真家ユージーン・スミス。しかしそれは最後の傑作であって、彼はそれ以前も名カメラマンとして名を馳せていた。

素晴らしい才能を持ちながら、頑固でもあった彼は出版社や編集者との軋轢が絶えず、50年代後半に何を思ったかニューヨークのアパートメント(ロフト)を借り上げ、そこを活動の拠点に膨大な作品と記録を所狭しと積み上げていく。
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(階上からNYの街路風景も数えきれないくらい撮ったらしい)

それと同時にジャズをこよなく愛する彼は、多くのミュージシャンと親交を結び、自分のロフトを彼らに解放し、やがてそこはジャズ梁山泊の様相を呈することに。

本作は彼が遺した夥しい“記録”を編集して織り成されたドキュメンタリー。
何しろ写真だけでなく音声の類いも実に膨大。そう、彼ユージーンは無類の「記録魔」だった。それは彼のジャーナリストとしての本分を越えた性(さが)と言っていいのか。

その絵と音を補足するように、存命する彼の関係者や、批評家たちの証言も交えられる。
それで見えてくるのは、やっぱりユージーン本人のエキセントリックではあるけども不思議と愛される人柄。そして、ミュージシャン達を邪魔せずに目立たずベストショットを撮影するカメラマンとしての力量。
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とにかく写真の臨場感が素晴らしい。
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個人的に印象深いのは、初めて名を知る2人だ。
ドラマー、ロニー・フリーは才能がありながら薬物によってキャリアを躓かされ二十代前半でジャズシーンから消えてしまう。
一方、作編曲家のホール・オーバートーンは優れた教育者でもあり、多くのミュージシャンから敬われた。
まさに明と暗の好対照なふたり。音楽の世界はかくもシビアなのを物語っているようでもあります。
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そのオーバートーン、ロフト人脈で最大の巨人と言えるセロニアス・モンクと濃密にセッションする写真と音声が披露されてるのがいちばんの見どころと言っていいかもしれない。実は彼が編成したラージ・アンサンブルの公演『タウンホール・コンサート』(トップ写真右:1960年)の編曲がオーバートーンとの打ち合わせだったのも初めて知った。メンバーであったフィル・ウッズ(アルトサックス)とロバート・ノーザン(フレンチホルン)の証言といい、好きなアルバムだけに思いもひとしおのものがあります。
「Little Rootie Tootie」
https://youtu.be/cd5rGoDqTyE


フォト【予告編】https://youtu.be/NZvTZzsp3Z4

〈シアタス心斎橋で上映中〉

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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2021年12月01日 13:25
    > mixiユーザー

    ジャズについてのマニアックな話に向きがちとはいえ、なるほどそういう世界なのだとおわかり頂けるだけで面白いと思います。

    映画によると、彼ユージーンは「気配を殺して」撮られるミュージシャンに意識させない独特の技量の持ち主だったとも。

    ご覧いただける機会があれば良いですねるんるん

mixiユーザー

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