「布施ラインシネマ」に捧ぐ

「ここが無うなったら何処で観たらええのん？難波まで？あんな遠いところまでいちいち行けるかいなめんどくさい・・・」

僕が閉館を知ったのは去年の11月。『力道山物語』を観に行った時にエントランスに置かれていたお知らせのパネルだった。
悄然としたまま席につくと、向こう隣の年配のオバちゃんから藪から棒に話しかけられたのが冒頭のお言葉。
やっぱり閉館がショックで誰かに話しかけずにいられなかったらしい。

補足しておくと、布施から難波までは電車で10分だけど、TOHOシネマまではそこから歩いて10分。なんばパークスに至ってはその先の15分以上。僕でも電車でここまで行くのがかったるく思う。だから行く時はほとんど自転車だけど、お婆ちゃんにとってはそうもいかないだろう。
開映までそんな延々とお話に付き合わされて首が痛くなったけど(笑) でもそのお気持ち、ほんとうに同感。

地元の老舗映画館でした。そして今日が閉館日。
シネコンになってからは23年。それ以前は地元の商店街のあちこちで営んでいた劇場チェーンだった。その歴史は87年間！

僕が利用していたのはそのうち足掛け46年間。
初めて観た映画は・・・なんと『ノストラダムスの大予言』！(爆)
途中で怖くなって退場したのもよく憶えています。
以来この映画はトラウマだ。作品じたい封印されたのも有名なので、その思い出はひとしおだ。

東宝特撮といえば、その数年後に同じ劇場の「東宝チャンピオン祭り」でリバイバル上映された『地球防衛軍』が『ノストラダムス〜』とは打って変わって大興奮して観たのも忘れ難い。
ついでに同じ東宝の「スターウォーズ」のパチモン大作(笑　失礼！)『惑星大戦争』もここだった。東映版(笑)の『宇宙からのメッセージ』はなぜか平野区の劇場で観たけれど。

そのスターウォーズ9部作も全てここで観た！・・・と言えば箔が付く(?)のでしょうけど、『帝国の逆襲』だけアポロシネマで観たのが残念？

500円2本立てで観れた2番館も懐かしい。今でもびっくりの安さではないか。メジャーからカルトなものまでたくさん観ました。ほとんどは高校時代の土曜日の午後だった。
そこがシネコンに改築されるための最後の上映作が『12モンキーズ』というのもなんだかシュール？(笑　この時期はロードショー作品に切り替わっていた)

・・・と、思い出せばキリがないのでこれくらいにしたいのですが(鑑賞作をカウントするのも面倒くさいので止めた。笑)、やっぱり直ぐ近所(歩いて5分ちょっと。自転車で2分)に在るのは何ものにも替え難い便利さでした。
そこでまたも思い出すのは、先ほど挙げたスターウォーズのスピンオフ作品『ローグ・ワン』
一度帰宅してから観に出かけ、上映が始まって思い出した。
作っておいた煮物をコンロで温めたままなのを！
真っ青になって劇場から飛び出し、自転車を猛漕ぎして自宅に飛び込んで事なきを得た。もちろんそこから劇場にUターン。
だから自分にとっての『ローグ・ワン』は今も「空白の7分間」がある(笑)

フツーはここで、「ありがとう、ラインシネマ」なんて、しおらしい言葉で締めくくれば格好もつくかもしれないが、恨みさえも抱くくらいあまりに残念で、ただただハートブレイク。。。
数えきれない思い出は忘れはしないけど。

(ローカル線や地域の名店が姿を消す時に)「ろくに利用した事のない者に残念と語る資格は無い」なんてキツいことをツイートされてる方がいた。「ヴィレッヂヴァンガード」の社長も自著で同じことを言ってたか。
そのてん僕は資格充分(笑) それも大事にしておきたいけど、やっぱりそれも虚しいか・・・

2番館で『ミスター・アーサー』を観たのは高一の頃。
劇場で初めて観た「大人の映画」だったと思う。
主題歌を歌っていたのが女性とずっと思っていたのは、今打ち明けても恥ずかしく無いですよね(笑)
https://youtu.be/sL9Tbu2XNsI