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2020年01月24日18:03

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それでも僕はやってない ( 映画『リチャード・ジュエル』)

1996年のアトランタ五輪。
大会記念イベントの会場である日、爆弾テロ事件が起こり多数の死傷者が出る。
疑われたのは会場警備員のリチャード・ジュエル。
そもそも爆弾を最初に発見し、それを警告したのが彼。事件直後は英雄扱いされていたのが一転、まるで犯人呼ばわり。自宅はマスコミに取り囲まれ、それまで母と営んでいた平穏な暮らしが、ひっくり返るように壊されてしまう。
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だがリチャードは逮捕されたわけではない。FBIの捜査線上に浮かんだ単なる被疑者だ。それが新聞にリークされたのはなぜか?どうして新聞は載せようとしたのか?

リチャードは藁にもすがる思いで、役所の用務員時代に知己を得た弁護士のワトソン(サム・ロックウェル)を頼る。ふたりの闘いが始まる。
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クリント・イーストウッドの新作は、またもやの「事実を基にしたストーリー」です。
これがいったい何作目になるのだろう?僕が観たのでは少なくとも10作近いのではないか。
どうして最近の彼がそういう傾向なのかをつらつら考えてみれば、たしかに「物語」の原案として格好のものがあるかもしれないけど、そこには彼が訴えるべき「個人の尊厳」が込められてているような気がしてならない。

リチャードは警官になるのが夢で、それに準じる仕事を転々としてきた。法と秩序を守る職務に志を抱く「善きアメリカ市民」だけど、それが純粋過ぎるあまり、それまでの職場で問題を起こしてもいる。そのくせお人好し(それもアメリカ人らしい)。それらが悪い方向に働いて誤解を招いてしまう。

リチャード演じるポール・ウォルター・ハウザー。彼、どこかで見たことあると思いきや、一昨年の怪作(?)『アイ・トーニャ、史上最大のスキャンダル』でトーニャ・ハーディングの間抜けな彼氏役だった人! 
まるで表裏のようで、ちょっと被ったところもあったり、イノセントと思い込みが現れたような眼差しがとにかく印象的。
だって、瞳が子供のように澄んでいるのに目付きは座っているんだもの(笑) それに肥満体だから余計にキャラが強烈。これは確かに誤解されそうで、騒ぎの元凶になった女性新聞記者の餌食になってもおかしくないかも。

おりしものゴーン逃亡事件で問題視された日米の司法、事件捜査、弁護士の権限の違いにも注目させられるのですが、僕が個人的に絆されたのは、ワトソン弁護士との信頼関係もさることながら、リチャードの友人ダンの存在だった。
ストーリーにあまり大きく関与しないし説明もされない。風態もプアホワイトっぽいが、マスコミに包囲された中で彼が駆けつけた唯一の友人が彼。それだけでもどれだけ心強いだろう。
日記タイトルで引用した周防正行の映画でも、山本耕史が容疑者にされた友人(加瀬亮)の名誉回復に尽力するのを思い出さずにいられなかった。彼だって仕事もあるだろうに、なんて素晴らしい友情だろうと、あの時も感嘆させられたものです。物語はそれをことさらに強調しないけど。

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お母さん役のキャシー・ベイツも素晴らしい存在感だったのもぜひ付け加えておきたい。
僕が彼女の演技を観るのは何年ぶりになるのだろう。誰が付けたか「ハリウッドの樹木希林」(笑) ところが、それまでのイメージとは違う切々とチャーミングな演技にすっかり魅せられてしまったのでした。

フォト【予告編】https://youtu.be/9J8OqAeAwic















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