うわぁ〜なんてこった。これは大快作だ!
オリジナルメンバー4人のうち2人が他界しただけでなく、今のロック界においてのグループの存在意義すら薄れてしまった感があり、もはや活動することは無いと思っていたTHE WHOが、こんなにも力強い新作を放つとは。
ボーカルのロジャー・ダルトリー(74歳)の歌唱が衰え知らずなのは去年のソロアルバム『As Long as I Have You』で経験済みだけど、気になるのはリーダー/ギタリスト/ソングライターであるピート・タウンゼント(75歳)がどこまで「やる気」だったのか?ということ。
僕は彼らの近況は全くリサーチしてはいないし、そもそも今のロックシーンの動向に疎いままなのだけど、ピートはそれほど動きを見せてはいなかったはず。
それがどうだ。聴いてみればヘヴィな音圧、時にスペクタルな曲想でありながら、乾いた軽快なメロディにビート、ハーモニー、楽器の音色(ギターはもちろん、シンセのリフレインや、ハーモニカの多用が特に)、まさに往年のTHE WHOの持ち味そのままではないか。
(だけどそのセンスが、かつて彼らが日本で受けなかった一因だと思うのだけど)
ロジャーの熱唱に絡むピートの独特の歌声。彼がリードを取る、落ち着いた曲などコントラストの妙。
全てにおいて、彼らのそれまでの変わらぬ持ち味が磨き抜かれ、蘇ってくるようなエネルギーに溢れている。
ロジャーが「1973年の『四重人格(Quadorophenia)』以来の出来だ。」と誇らしげに言うのも納得だ。ってあれから45年も経っているのですよ。何なのですかこの「底力」は。
鬼籍に入ってしまっているキース・ムーンとジョン・エントウィッスルには悪いけど、「バンドの核」が健在というのは大きい。これまた申し上げにくいことですが、フレディの居ないクイーンとはそこが違うと思わざるを得ない。
と、しみじみ爺むさく(?笑)感涙するのは、「日本でいちばん人気の無いロックスター」だった頃の彼ら(最初の解散前)を知る、おっさんファンの屈折がたぶんに入っているのであって、本作こそもっと若い人達や、自分と同年代でもTHE WHOをあまり知ることの無かったリスナーに広く聴いていただきたい。そして、きっと気に入っていただけると思う。
・・・などと言うまでもない、これまた驚きのニュースが届いた。12月6日で世界同時発売のこのアルバム、なんとこの日のオリコンでの洋楽チャートで4位を達成!(以降数日間は20位程度を推移)
やっぱり、昔を知る者にとっては考えられない快挙だ。時代は変わったのである。
(ちなみに英国ではもちろん1位。実はこれは71年の傑作『Who’s Next』以来!)
僭越だと言われそうだけど、このアルバムが彼らの最高にして最後のアルバムになっても僕に心残りはない。
まさに衰えぬロック魂
アルバム、トップチューン「All This Music Fade」
https://youtu.be/QpKhGNaiS6c
「I Don’t Wanna Get Wise」
https://youtu.be/0X0TX-vyxSU
このアルバムは、さすがにダウンロードではなく、CDで購入した。その特典が缶バッジというありふれたモノではあったのだけど、そこは心意気である
仕事用のニット帽に(笑)
〈 ロジャー・ダルトリー『As Long as I Have You』日記 〉
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1967846663&owner_id=26940262
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