mixiユーザー(id:26940262)

2019年09月19日18:04

122 view

使命に殉ずる ( 映画『プライベート・ウォー』)

今年はじめに観た『バハールの涙』に登場し、大きな印象を残した隻眼の女性ジャーナリスト、メリー・コルヴィンの伝記映画です。

といっても、映画で描き出されているのは、彼がシリアで亡くなる(知らなかった!)12年前、内戦下のスリランカでの取材中に攻撃され、右目を失った時からスタートする限られた期間。
フォト


もちろんフォーカスされるのは、彼女のジャーナリスト魂だ。
勇気を勇気とも思わない向こう見ずさで危険地帯に飛びこみ。そこに置かれている人達に接し、その声に出来るだけ多く耳を傾けようとする。
戦禍のリアルを伝えるものは「情勢」ではない。人たちの姿とその「ストーリー」なのだ、と。

戦争ジャーナリストというのは一種の賞金稼ぎ、あるいは冒険家のようなイメージがあるのだけど(例えば『地雷を踏んだらサヨウナラ』のように)、メリーの取材姿勢には確固たるプロフェッショナリズムが感じられる。どこまでもヒューマニズムに徹したブレない信念も然り。
彼女の勇敢さ、取材力が報われるように、記者としての名声も得ることになるが、その任に挑み続けることで、その死は避けられない運命だった。
フォト


彼女への敬意に溢れた直球のオマージュ。しかし現場から戻っての「日常」の彼女はずいぶん奔放。酒びたりで、好きになった男性と簡単に結ばれてしまう内面の寂しさも隠さず描かれている。
それは危険な仕事に就いてるからこその反動なのだろうか。自らの欲求に正直なのことで生の実感を得ているような。

監督のマシュー・ハイネマンは、それまでの2作で社会派ドキュメンタリーを手掛けてきた人で、本作が初の劇映画。そうとは思えないくらい脚本も映像も実に良く出来た力作だ。
日本向けのでインタビューで、いっとき論議を呼んだ記者の自己責任論を問われて、「そんなことは考えたことも無い」と驚いた様子で答えられていた。
危険を賭し、我々に事実を届けてくれるメリーらジャーナリストの志に、誰が後ろ指を指せようか。壮絶なラストシーンも相まって、それをあらためて教えてくれる映画でもありま した。

フォト【予告編】https://youtu.be/LekWGOG409s

〈 シネマート心斎橋で公開中 〉
15 7

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年09月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930