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2019年08月21日18:57

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ひとまず有終の美 ( 映画『さらば愛しきアウトロー』)

名優ロバート・レッドフォードの「俳優」引退作品。

ロードショー時はさほど興味が無くて見送ったのだけど、近所のシネコンでの続映が決まったので観に行ってみた。

1980年代初頭、仲間2人と相次いで銀行強盗を重ねる男フォレスト・タッカーはなんと70歳を過ぎた老人。
にもかかわらず、彼は全く相手を傷つけることなく、穏やかに、にこやかに事におよび、しかもそれがことごとく成功する。
だから脅かされた(?)銀行の人間は誰もが彼のことを悪く言わない。
一連の犯行を捜査する刑事のジョン(ケイシー・アフレック)は彼の行方を追うが・・・

僕が観るレッドフォードの出演作は3年前の『ロング・トレイル!』以来。その頃で既に、爽やかな目鼻立ちに往年のイケメン(なんて言葉は当時は無かったが)男優の面影をくっきり残してはいても、お肌がもうシワシワのボコボコで(失礼!笑)、そのアンバランスさがなんとも言えない味わいを発していたけど、この映画もそう。
ああ、ブラピもディカプリオも彼みたいになるのかいずれ・・・と、どうでもいいような感慨すら沸いてくるのですが(笑)

ともかくも、この主役タッカーはなんと実在の人物。だからこれは、いわゆる実録系の犯罪映画なのだけど、やはりそこにはレッドフォードが抱くだけでなく、おそらく米国人ならではのアウトローに対する密やかな憧憬が込められている。しかもそれが「クリーン」な犯行ならなおさら。
もちろん同年代だから、自らに重ねるところも大きかったのだろう。

フォト
タッカーだけでなく、追うジョンにも物語は大きく眼差しを向けていて、これもまた「catch me if you can」系の犯罪映画の王道。時代設定に合わせて、敢えて16mmフィルムで撮影した映像の質感もくすぐらされるものがあります。

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何より嬉しいのは、タッカーの相手役であるシシー・スペイセクの起用。彼女、お歳は召しても、あの独特のコケティッシュな魅力は衰えていないし、それ以上に驚いたのが彼の相棒の1人を演じたのがなんとトム・ウェイツ!役が役だからもっと彼らしいアクの強いヤクザな感じだと思いきや、ほとんどふつうのおじいさんだ(笑) 事前にリサーチしなかったから最後まで気がつかなかったほど。
フォト


実はタッカーは、子供の頃からのワルで、捕まっては脱獄/脱走を繰り返していた。その辺りの不屈/不敵さもまた米国人の琴線をくすぐらされる(ポール・ニューマンの『暴力脱獄』が典型か)のだろうし、その「回想シーン」でなんと彼自身の旧作場面が用いられている計らい!

レッドフォード、俳優として米国映画の良心を守ったまま、いい引き際を作ることが出来たみたいだ。

フォト【予告編】https://youtu.be/ogHCG1ymJLk

『ロング・トレイル!』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1954922993&owner_id=26940262

監督作の『声をかくす人』が対照的に(?)、世の公正さを訴える、これもまた良作なのも付け加えておきます。だけどもう7年前か。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1880514243&owner_id=26940262
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