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2020年01月16日20:07

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【メモ】上原正三さんと『怪獣使いと少年』

『帰ってきたウルトラマン』第33話に関する件。

〇評論

「日本社会に巣くう本質的な差別体質を扱った第33話「怪獣使いと少年」は、実相寺昭雄監督の助監督から独り立ちした東條昭平監督の前衛的な演出と上原正三の情念あふれるシナリオが結晶化した作品で、当時局サイドの首脳陣から「なぜこんな暗い話をウルトラマンでやらねばならないのか」と厳しいクレームを受けたが、その一方で一部のファンからは「ウルトラシリーズのなかの最高傑作」と絶賛されもした」
(”円谷 THE COMPLETE” ISBN4-04-853378-9)
*注:「局」とは当時キー局だったTBSテレビを指す

と、

〇上原さん本人の談

「思い出のエピソードといえば、「怪獣使いと少年」ですか。これは、良い意味でも悪い意味でもずっと引きずってきましたね。僕自身は生々しく表現するというのは、基本的にはヘタだと思うんですよ。それとやっぱり、子供に見せるんだからオブラートに包んだほうがね。そんな僕の書いた脚本を、東條(昭平)監督がさらに露骨というか、生々しくやっちゃったから、局のほうとしては「まずいよこれは。どうしてくれるんだ」みたいなことを言われてね。現在では、よくぞやってくれたという人はたくさんいますし、『帰ってきたウルトラマン』はこの作品さえあればいいという極端な人もいますよね。僕は、観る世代層によって、同じ作品がどんどん自分なりに変化して深くなっていく、ということのほうがベターだと思っているんですよ。それがいきなり諸肌脱いだ話だから、当時は「ヤッター」っていう気はしなかったですね」
("帰ってきた 帰ってきたウルトラマン" ISBN4-88641-364-1)

と、

〇キャストへのインタビュー

(1)
河崎実さん:東條さんといえば「怪獣使いと少年」で監督をされましたが。
団時朗さん:僕はあれが一番好きなの。
河:僕らの間でも名作として言われているんですけど。どうでした?
団:シュールでね。しかもね、初号はもっと面白かった。
河:そうなんですか。
団:そりゃあ、そうですよ。問題提起が多すぎてね。もう初号がズタズタになって。もっとシュールでね。
河:どんな凄いシーンがあったんですか?
団:凄いというか、もっと陰湿にやってましたよ。それとね、あの回はもめたんですよ。他の隊員が出てないのにギャラが出るのかってね(笑)。いや、勿論冗談でもめていたんですけどね。あと根上さんの修行僧ってのもよかったですよね。あれは印象に残ってたな、何でか解らないけど。そこら辺の世界は未だに解りません。でも本としては僕らもね、納得できる。ネックになる部分は問題提起として、重要なところでもあったんですよね。

(2)
きくち英一さん「この回はまだ誰もやってない事をやろうと思って、1カット長回しに挑戦したんです。壊れないタンクは、実は中に壊れないように支え木を入れて補強したんです。雨の中でね。スタジオのギリギリのところまで利用して。ウルトラマンにもセブンにも無かったアクションをワンカットで撮ろうと持ちかけたら、大木監督(大木淳特撮監督)もスタッフものってくれてね。スタジオ一杯にレールをひいて横移動。爆発するのでスーツを着ないで二人で何度も何度もテストをして、雨を降らしていよいよ本番。一回でOKでした。終った瞬間にはスタッフから拍手が出ましたよ。早く帰れるから。(笑)」
("ウルトラマン・ダンディー 〜帰ってきたウルトラマンを演った男〜 " ISBN4-938733-19-6)

評論家とスタッフとキャスト それぞれの見方。
ご視聴の際に参考となれば幸いです。

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