私が小学1年か2年の時、父がつぶやいたひと言が、ずっと何十年も気になってきました。
父は遠くを見る目をして
「アメリカ人ってすごいなあ! 昔、米軍のお偉いさんに『どこから来ましたか?』 と訊いたら(訊いたのが誰かは覚えていない)、『シャングリラ』と答えたんだって。夢がある名前だよねえ!」
父が生きているうちに、何に感動したのか訊いておくべきでした。
「架空の地シャングリラから来たはずはないのに、ウィットに富んだ答えをしたそのお偉いさんにお父さんは感心したの? それとも、シャングリラって、そのお偉いさんがいた基地名かなんかだったの?その基地の命名に感心したの?」
と。
その後長い間、時々ネットで検索しても、シャングリラという米軍基地は見つけられませんでした。
ところが最近、ついに見つけたのです。で分かったことは「シャングリラ」は航空母艦の名前だったのです。
1942年、日本本土に対する初めての空襲が成功した時、ルーズベルト大統領が喜びに沸く記者団の
「日本攻撃に成功した攻撃機はどこから発進したのですか?」
の質問に、
「シャングリラ」
と答えた、というエピソードです。
もう、唖然としました。私の記憶のイメージとは全然違っていました。
父は、航空母艦にシャングリラと命名したことに感心したのでしょう。
何十年来の疑問は解けましたが、幸せな不老不死のイメージの「シャングリラ」が、なんとなんと日本本土空襲で太陽虐殺していたなんて!
時に真実って、残酷なこともあるんですねえ。
ログインしてコメントを確認・投稿する