mixiユーザー(id:2667316)

2020年01月24日05:49

205 view

儚きものそれは夢、墓無き者それは亡霊

伏線も落ちも完璧な夢を見て、ぼろぼろ泣いて目を覚まし
書き留めようとしたところでその物語が驚くほど穴抜けになっていることに愕然とする
それでも。

------------
夜の屋敷の門の前、侍の亡霊が二人
二人は朽ち果てた身体のまま、消えかけた残留思念が何か心残りに引っかかって成仏できない様な
それでいて、朽ち果てた際の恨みつらみに苛まれ続けているような
そんな感じでただ「いる」だけだった
ところが、ふと目の前を通りかかった一人の女が気になる
一人が生前の得意とするところ(口先?)を活かして女に接触しようとする/ふと自然に浮かんだ名前を呼ぶ
当然女は亡霊を恐れて逃げ去ってしまう
生前の特技も錆びついたものだなと時景とからかうと
何の、お前こそ生前はあの娘にしてやられていたではないか時貞ともう一人
女という指向性を得たことで、ふっと鮮明になる二人と女の過去
二人と女は三人で幼馴染とかそんな感じ
三人は道場に通っており、時景は弱かったが口が上手く、三人を楽しませた
娘は薙刀をよく使ったが、時貞は「いなし」が上手く、娘との立ち合いでもひらりひらりといなし、余裕をもって見せた
時貞の余裕に、悔しいのか再戦を挑む娘
一体何度挑戦するつもりだと時景が突っ込めば、無論勝つまでと娘、何度でも来いと時貞
/この辺で後で使う口癖の様なものが出る
そんな輝かしい過去に、陽が陰るような暗転
月もない夜、討ち入りか何かに駆り出される二人
奮戦空しく、命を落とす
心残りは……

過去を思い出した二人
次の日次の夜
再び女が通るも、
胡乱な亡霊のまま、誰かに気付いて欲しかっただけの昨日とは違う
そもそも、こんな骸骨の様な霊体(からだ)だ、気味悪いだけだろう
そもそも見えぬかもしれんぞ、ええい煩い時景
改めて見れば昨夜逃げていったのも、拙者たちとはわからぬからだったに違いない
まあ、こんな骸骨姿から分かれと言うのも無理な話
それに女の姿から、あれから何年も経っているのだろう
今更過去の亡霊が彼女の今をかき回す必要もあるまい
上手いこと言ったつもりか時景
煩いぞ時貞、ここは一つ、我らの心残り/あの日の約束を果たせぬことだけ謝らせてもらい、
とっとと成仏すべきだろう
……そうだな

そうして女に再び声をかける
今度は女に自分たちだと気付かれぬよう、ただの亡霊を装って
だが、昨日と違うのは女も同じ
何故亡霊が自分の名前を呼んだのか?
二人組の亡霊なのか?
果たして、あの亡霊を見かけた場所は?
昨夜は恐ろしさのあまり逃げ去るだけだったが、落ち着いてみればもしやと思う辻褄ばかりがあっていく
それ故に、今日再びあの亡霊を探してここまでやって来たのだ

昨日は失敗しただろうと、今日は時景でなく時貞が女の注意を引こうとするものの
特別口が上手い訳ではない時貞は上手く言葉が出てこない
口から出たのはいつかの口癖
その言葉に得心するかのように女、亡霊二人に近づき、その名前を呼ぶ

ああ、忘れられていなかったのだ
時貞の熱も何もない亡霊の身体から溢れる様に涙が沸き上がる
とてもじゃないが見せられないと嗚咽を噛み殺す時貞を見て
「ようやく一太刀報いることが出来ました」と女
同じく涙を堪えきれぬまま、そんな時貞の様子をからかう時景
------------


夢の物語は、時系列順に処理はされるのだけど、
その情報を覚醒時に処理しようとすると、その情報が全部一度に認識されるのか、
時系列がバラバラになってたり、
一度に処理される情報量が多すぎて受け取りきれず、情報が穴だらけになってしまう
手から零れ落ちる砂どころではなく、
零れ落ちた感触すらない。
それでも、いやだからこそ、
夜中に飛び起きて、
寒い中暖房をつける暇すら惜しんでPCに向かうのだ。
記憶の残滓をかき集め、かすかに残った印象からプロットを組み立て直し、
閃いた物語をメモするように、僅かな手がかりから物語を再生させる。

あーあ、結局小一時間位キーボード叩いてたよ
この後仕事だよ、バーカ。

あと、ついタイトルで駄洒落てしまったが、
多分あの二人のお墓は別の場所に作られたと思うなあ。
女も墓参りはそっちに行くばっかりだったから、
討ち入りの現場で地縛霊化していた二人に会えなかったのでしょう、多分。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する