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2019年01月16日23:55

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《階段 04-03》《ちー+! 072》

《階段 04-03》

男の色と女の色

当時の幼稚園での自由時間(?)は現在ほど遊具が充実しておらず、特に悪天候時の屋内自由時間となれば、遊ぶための道具が限られていた。

本、そして算数の仕組みを教えるような、『数』に焦点を合わせた道具が主だ。
もちろん、当時の園児には算数に対する認識は無く、たくさんあるおはじきのような物を延々と並べて遊ぶだけなのだが。

その他に遊ぶためのものは『折り紙』。
でも、この『折り紙』がややクセモノだった。少なくとも俺には。

俺の中の折り紙と言えば、1枚の折り紙は一色とはいえ、たくさん存在する様々な『色』だろう。
赤・青・緑・黄、たくさんある色の中で、どれを使うかが毎回の楽しみなのだが、…これは家での話。

年中の『ゆり1くみ』の担任の飛田先生は、どういったわけか使用する折り紙の色を制限する癖を持っていて、必ず男女それぞれに『使っても良い色』を準備するのだが…。

女の子は『ピンク』で男の子は『黄色』らしい。
もう少し深く言えば、女の子は可愛らしくピンクとの事で、男の子はカッコよく黄色…。

なんだろう、理解出来なかった。
女のピンクというのは、まあ、女の子グッズを見れば赤系統が非常に多く、道具だの玩具だの食器だの、とにかく赤系統が当たり前に使われているものだ。
それが女に対するイメージカラーなのかと疑問に思う人も少ないだろう。少なくとも日本人として生活している人たちには。

でも、男のイメージカラーが黄色ってのは納得出来ないんだよね。いや、別に黄色が嫌いという訳ではないが、それが男のイメージカラーとして焦点を合わせられると、なんだか違う気がし、俺個人的には青系統が非常に多い気がする。
これまた道具や玩具、食器を見ても、非常に青系統に集中しており、この認識は多分みんな同じように考えるだろう。

俺個人の『黄色』と言えば、男女問わずに使用される無難な色に感じ、どちらかと言えば男女を区切る主要な意味合いを持つ色というよりは、メインとサブに使用される目立つ色であり、ベースとなる色ではない思いが強い。

まあ、何を言っているのか分からないと思うので、簡単な説明をするならば、何かのキャラクターを主役に置いた絵の場合、下地が青系統であれば『男向け』であり、赤地であれば『女向け』と言った風だ。黄色は主役そのものに多用していたり、黄色を使わない主役の場合には、その周囲に黄色を散りばめる事で主役を引き立たせると言った、目立つ意味では都合のよい色だろう。…まあ、独断だが。

当時のクラスメイトにも『黄色が男』という先生の言葉に疑問を抱く仲間も多く、直接交渉で先生に『青が使いたい』と申し出た人もいたが、そこでも『男の子は黄色だよ』と却下されていたのを覚えている。


そんなある日、先生が職員室に行っている間にクラスメイトが先生の机の引き出しを漁り、見事青の折り紙(200枚入り)をゲット。
罪悪感なんて知らない子供集団は当然ながら一斉に群がり、男女問わずに『青』の折り紙で楽しむ事に。

しかし、当然ながら先生は時間と共に戻って来る。
教室に入り込むなり、ワーワーと騒ぐ子供たちに負けないくらいの声でワーワー騒いでいた。
青の折り紙を持つ全員を呼び集め、何を言っていたか分からないが、まあ、長々とお説教していたっけな。

…俺? 俺はさ、イイコだからさ、青い折り紙、使わなかったんだよね。
いや、ウソ。物凄くそそられてたけど、それ以上に『おはじき』を積み上げる事に必死だったのだ。そのおはじき、人気があってなかなか手に出来ないシロモノだったんだよね。

ちなみに机の引き出しを開けた男の子はスゲェ泣いてた。


《ちー+! 072》

第一章 仲間たちとの行進曲 3-34

【拠点ネメス・ネメス城下町北区域】
『クルリダ=エイシェン 旅の友』

「お待たせしてすいません! いらっしゃいませ!」
「げ…」
「…ぅ…」
 元気そのものの勢いで奥から姿を見せた店員に対し、2人は絶句した。
 あじさいの店主と似たような年齢を思わせる小柄な女性店員ではあるが、その元気な声と共に現した姿は白衣姿。しかし、その白衣の胸から下は赤黒く染まっており、手には血塗られた包帯と大きなハサミが握られていたのだ。
 しかし、店員は構わず言葉を続けた。
「『クルリダ=エイシェン 旅の友』にようこそ! 本日のご用件は何でしょうか? お買い物ですか? レンタルですか? …あ、ちょっと待ってて下さいね!」
 言うだけ言って、パタパタと店の奥に姿を消す店員。向こう側で何かしたのだろうか、魔力照明の光度が一気に上がったようだ。
「こんな時間にお客様なんて珍しいものですから…。これで明るくなりましたよね?」
 またもパタパタと戻って来る店員の言葉通り、たった今までの薄暗さが嘘のように店内から消えてしまった。
「魔法って便利なんだね…」
 この場ではどうでも良い事を感心するチータス。
「えっと、…おはようございます。…勝手に入り込んでおいてなんですが、このお店は…その、…どんなお店なのでしょうか?」
 本題から既に心が離れてしまったチータス代わり、気後れしながらもナルミが質問するが、この質問によって店員は2人が『戦いの場に身を置く人物ではない』という事に気付いたようだ。
「あ…、もしかして冒険者とは無関係な人でしょうか!? こんな恰好ですいませんでした!」
 そう言うなり、急い白衣を脱ぎ、血に染められた包帯とハサミも白衣にまとめてぐるぐる巻きにして投げ捨てる店員。床に落ちた丸まった白衣がびしゃりと音を立てる。
「………」
「………」
 これまた絶句する2人だが、店員は構わず説明を続けた。
「ここは簡単に言えばペットショップです! まあ、お店の存在価値の大部分はレンタルなんですが…」
「レンタル? 猫さんとか犬さんのレンタル?」
『レンタルペット』という言葉に思い当たる節があるナルミが言葉を挟むが、店員は即座に否定した。
「違います。販売用に小動物を取り寄せる事はありますが、レンタルの全ては『戦闘獣』です!」
「『セントウジュウ』?」
 初めて聞く言葉をチータスがなぞる。
「あ、知りませんでしたか。えーと、簡単な説明をしますと、戦闘獣は冒険者の皆さまが戦闘の場面に出くわした時、味方となる冒険者さん達を戦って守る役目を果たす動物たちの事で、その他にも道具運びにも活躍できますよ! レンタルする動物によっては、馬やラクダのように人が乗って移動する事も可能です!」
 妙にはきはきとした口調は商売本意という訳ではなく、どうやら彼女のそういった性格のようだ。
 それにしても、冒険者と共に行動するレンタル猛獣というのも聞き映えはおかしなものだが、人間には無い便利な能力がありそうで、ある意味では興味をそそるものがある。
 また、『戦闘』という言葉が含まれた通り、血染めの白衣を目撃した以上、やはり冒険には危険が伴うという事も理解出来た。
「せ、説明をありがとうございます。実はまだ、その『冒険』というものを行うかどうかは分からない状態なのですが、わたし達は試練の年を送っている最中でして、そのために何をしていいのかがさっぱり分からない状況なのです。…それで、今までの情報をまとめた結果、『ギルド』という所を尋ねる事にしたのですが、今はその場所を探している最中なのです」
「あんた口が上手いねぇ〜」
 やんわりと大人びた口調で『ここには用は無い』と伝えるナルミだが、そこにチータスがバケツをひっくり返したような水を差す。しかし、店員は気にせず言葉を返した。
「そうですか、試練の年…。わたしも再来年に迎えるんですよ。試練内容は生まれ育ったこの店に合わせた『ビーストテイマー』ですけどね!」
『ビースト・テイマー』とは猛獣使いを意味する職種の一種であり、そのマスタークラスとして『ビースト・マスター』というランクがある。
 猛獣使いは通常の戦士と異なる特殊な能力を多々必要とする職業ではあるが、それが生まれ育ちの環境にあるならば、彼女にとっての試練の年とは自営業の跡継ぎに他ならない感覚だろう。獣の血にまみれた衣服をまとって平然とする彼女を思えば天職なのかも知れない。
「ところで、『ギルド』って言いましたよね? わたし、ちょうど近くのギルドに用があるんです! いま相手にしている子(猛獣)の処置のこの先は親の専門なので、目的のギルドがどこでもいいなら、場所を教えるついで、一緒に行きませんか?」
「え?」
「いいんですか?」
 思わぬ案内の申し出に驚きを隠せない2人は顔を見合わせた。
「冒険者でもない人が猛獣のレンタルをする事は無いですし、そもそも外見からして何の店か分かりませんからね、この店! たまにお2人のように間違って入って来る人も居ますし、わたしの血まみれの姿に悲鳴を上げて逃げ出す人もいるんですよ! 慣れっこです! なので気にしないで下さいね! …でも、さすがにこのままじゃ外は歩けませんから、ちょっと待ってて下さいね!」
 やや一方的にではあるが、そう言って店員はまたもパタパタと奥に姿を消した。話の内容から着替えでもするのだろうが、それよりも気になったのは、怪我を負う猛獣の処置中に血に溢れた処置台の上にでも座ったのだろうか、尻が真っ赤になっていたところだった。先程は薄暗さの中で見落としていたらしい事実だ。
「なんか精神が鍛えられそうなお店だね」
 店員が残した赤い足跡を眺めてチータスが言う。
「わたしは眩暈から解放される事がない人生を思うわ…」
 彼女の立場を自分の身に置き換えた感想を述べるナルミの目はうんざりしていた。


《あとがき》

どんな物にでもイメージというものは備わるもので、それは植物や動物にも存在する。
でも、対象を目にしてイメージに繋がるという事は、その人にとって何らかの繋がりがあるからこそ『イメージ』に辿り着くものであって、その例えは万人に共通するものではなく、表現を変えれば好みの世界に近い。

どれだけ個人が好印象のイメージであっても、そのイメージが他者に対して好感を抱くものかと言えば、根本的に次元の異なる話であり、共感はされても同意する意味とは完全に異なる。

幼稚園の頃の先生の男性イメージは『黄色』と言って、幼稚園児相手に他の色を断ち切る勢いで拒絶していたが、小学2年の頃の先生は男性のイメージ色を『緑』と表現していた。

こちらの先生の場合は、だからと言って男性に緑を強要した事はなかったが、個々のイメージの持ち方なんてそんなものだ。

そう言った中に、俺は俺で『青』という概念があるだけで、だからと言って男である俺が『青を好きか?』と言われれば、別にどうでも良い色となる。

俺が好きな色は『薄紫』『水色』『白』だな。
これも個性だろうが、やはり意味は無く、そんなものなのだ。

ちなみにパステルカラーが最高だ。ミルキーカラーも捨て難い。

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