《ギャアァァァァッ!!!》
背中の傷が昨日から疼く。
俺の背中には左肩下から右に落ちる様な30センチほどの傷があるが、これは若い頃に無茶をした結果に出来た古傷だ。
とか言えればちょっとは迫力が付きそうだが、ぜんぜん違う。
なんか『痒いなぁ…』とか思った一昨日、軽く掻いたつもりが酔っていたせいもあって、ガリっと…。
…大丈夫…。確かに酔ってはいたが、掻いた瞬間に(あ〜…やっちまった…)という事を思ったのはちゃんと覚えている。正真正銘、自らが付けた派手な傷だと理解している。
そんな本日、仕事中に背中が疼き、痛痒い。それなりに大きな傷だが、それにしてもアピールが強過ぎだろう…。
なんて多いつつも、作業続行。それにしても気になったのだが、痛さの位置が何となく下にズレている事が気に掛かったり…。
で、家に帰って来て、俺にしては人生稀に見る鏡検証。
ぬおっ!? なんだこの強烈な傷は…!?
とか驚くくらいの、幅1センチありそうな3本の傷(長さは20センチ程度)…。痛いわけだ。
傷と傷の間隔を見れば、まあ、自分で引っ掻いたものと思われるワケだが、こちらはいつ付けたのかを覚えていない。
とはいえ、とりあえず『戦慄』という言葉が横切る酷さだ。昨日はべろんべろんだったからなぁ。なんか気分で…。
恐らくは、そんな中で掻いたのだろうが…、なんつーか、どう力めばこうなるよ?
余りにも凄い見た目なので、とりあえずカミさんと子供に見せる。
すると子供。
『すげぇ〜…。血は出なかったの?』
そんでカミさん。
『猫じゃない?』
ンなワケあるかい!!
こんなドデカイ爪痕残す様な猫、飼い馴らす前にこっちが食い殺されているだろう。
ちなみにこの傷、衣服の上からでもボコボコ感がスゴイ…。
明日会社で見せ付けようかな? そう思ってしまうくらいの惨劇が背中に…。
とりあえず、波型カットになっているらしい左手の爪をどうにかしよう…。
《パチ屋カラ巡り》
背中の疼きを気にしつつ、今日はたばこ回収に闘志を燃やしていた業務だったが、明日の棚卸を考えている中、気付いてしまう。
(あ…、今日はパチ屋さんが店休日だ…)
ああ…、どうしてもっと早く気付かなかったのか。まあ、いつもなら気付かないままにパチ屋に直行し、それこそ成す術も無くとんぼ返りなので、今日は早く気付いた方なのだが…。
たばこ回収を早々に断念し、せっかく早めに気付いたのだからと、本日は『負けパチデー』に認定(?)する。
進撃店舗を第二候補に向け、好みのスロットをやろうという考え。勝ち負けじゃなく、たまにゃぁ好きなスロットしたいからね。
という事で持参金は1000円。5円スロットで好みの台を座ろうと、勇ましく出撃。
…で、到着。
目の前の看板には大きく『本日店休日』…。
そうだった。ここも第一候補同様の店休曜日という事をすっかり忘れていた。どうりで最近近付く事が無かったわけだ(第一候補が操業している場合は、率先してそちらに向かうため)。
やっていないなら仕方が無い。今日は素直に帰ろう…。と、再度帰路へ。
すると、暫く考える事も無かった店舗が視野に入ってしまい、気になるものの、今回も無視。このグループは金を巻き上げる事しか考えていないからな。近付かない事に越した事ギャアァァッ!? …い…、引力っ!? 凄まじい引力がぁぁぁっ!!!
という訳で、やってきました、1年以上ぶりのこの店(意志が弱い)。
…で、入店。相変わらず客入りが多い事で。
…で、何となく歩きながらデーター物色。どうしてみんながこの店を選びたがるかが不思議に感じるほど出す気の無いデーター…。『出す気無い設定』という意味合いの答えを目で確認できる状態なのに、座る場所が少ない繁盛ぶり。…商売の肝は中身よりも、やっぱ場所だよね。とか、内心で考えたり。
ウロウロしていてもめぼしい台が無かったので、それでもせっかく来たのだからとポイント消費を考える俺。
ポイント確認に適当な席に座ってカード挿入。残ポイントは概ね130ポイントですか。ゴミ袋やらビールやらをかっさらって帰るか。
なんて思ってカウンター付近をウロウロ…。
ポイント景品置き場…、撤去されてるし…。何のためのポイントなんだ??
結局、何もせずに撤退。
なんだかなぁ…、のアフターファイブ。
…で、背中の傷の話に続くわけだ。
《ちー+! 055》
第一章 仲間たちとの行進曲 3-17
【ネメス中央大平原】
夜、食事を終えた一行の内、城兵4人は避難するかのように早々に馬車に乗り込み、今は静かに操縦席から周囲を伺いつつ、チータスとナルミの行く末を案じていた。
日中、満足の絶頂に身を置いたナルミは、チータスとの雑談の合間に油断し眠りについてしまったのだ。
そんな出来事により当面の心配事は自然と回避された訳だが、次に目を覚ました時が夜となっており、それでもペナ・リノに到着していない事実に疑問を抱いたのは、当然ながらナルミ1人だった。
「コレ食べる?」
しくしくと泣き続けるナルミを尻目に、チータスは準備された夕食を皿に盛り付けながら声を掛ける。…が、当然、ナルミの返事は『食事』に関してのものではない。
ナル:「ひどいよぉ〜…」
チー:「あははぁ…、だ、大丈夫だよぉ…」
ナル:「大丈夫の意味がわかんないよぉ…」
チー:「…そだね。わかんないよね。あたしもわかんないや」
ナル:「計画的だったの…?」
チー:「違うちがう、ラウニーさんの間違いだよ。…きっと…」
ラウ:「なんか…、私に矛先が向いてないか?(ポツリ…)」
アッ:「これまた唐突で…(ヒソヒソ…)」
ナル:「お城の兵隊さんが、そんな間違いするわけ無いよぉ…」
チー:「そだね、あたしの勘違いだね」
ダー:「思いのほか、あっさりと認めるんだな…(ゴニョゴニョ…)」
スケ:「それでも『勘違い』と言い張るのね…(ポソポソ…)」
ナル:「アカデミーどうしよう? 入学式、明後日なのに…」
チー:「ネメスにもあるかも知れないじゃん、その『あかでみー』ってヤツ」
ナル:「そういう話じゃないの…。入学金だって払っているのに…」
チー:「うぅ…(ガッコウってお金掛かるんだ…)」
ナル:「寮だって、お金払っているのに…」
チー:「うぅ?(リョウってお金掛かるんだ…)」
ナル:「教材だって揃えたのに…。高かったのに…」
チー:「うん?(なにソレ? …って、聞けない…)」
ラウ:「私も人の事は言えない立場で教養の問題と言えば失礼だが、ベレーレルではそんな言葉も出て来ないようだな…(ゴニョゴニョ…)」
ダー:「そういや隊長の出身は? ネメス城下町じゃないんですか?(ヒソヒソ…)」
スケ:「確かシャベリノ村でしたよね?(ポツリ…)」
アッ:「どうりで…。動物の扱いに長けている訳で…(ポソポソ…)」
チー:「とにかくさ、あたしは予定日にお城に行かなきゃいけないらしいから、そこまで付き合ってよ」
ナル:「わたしはその予定日が明後日で、もう間に合わないのよぉ…」
チー:「王様に言って、なんとかしてもらおうよ!」
ナル:「出来る訳ないでしょ…、わたし個人の為に国が動くなんて有り得ないよぉ…」
チー:「そこは勇者志願パワーで…! ほら、人助け!」
ナル:「人助けする人が、その相手を突き落とすの…?」
チー:「う…」
ダー:「チータス殿…、押されてますね(ゴニョゴニョ…)」
ラウ:「不利だな、ナルミ様が正論だ…(ヒソヒソ…)」
アッ:「判り切っていた事でしょう?(ポツリ…)」
スケ:「だからと言って、敗北されても困るけどね…(ポソポソ…)」
チー:「いや〜…、出来ゴコロだったね、悪かったね!」
ナル:「こんな事してわたしを騙せると思ったのぉ?」
チー:「思いっ切り騙されてるじゃん…」
ナル:「なんか言った?」
チー:「いやいや…、そうそう、浅はかだった! 再開に浮かれちゃったかな?」
ナル:「浮かれ過ぎだよぉ…。プカプカだよぉ…」
チー:「そ、そだね、プカプカだよね…」
チー:(プカプカ…???)
ダー:「腹減った…(ポツリ…)」
スケ:「そうね…(ポツリ…)」
アッ:「眠いです…(ポツリ…)」
ラウ:「早く終わらんかな…?(ポツリ)」
闇夜に浮かぶ無数の星に装飾された空の下、6人中、2人と4人とに別れたそれぞれの温度差は極めて激しいものの、その場に緊迫感はまったく存在しなかった。
この先のネメスは歴史を揺るがす激変の予兆を控える事になるが、そんな激変の中央人物たちは、今のところ平和そのものであるようだ。
《あとがき》
痒いからと言って、迂闊に掻くと、傷だらけになるこの体…。見た目に反したデリケートさは我ながら悩みどころだが、痛さよりもその見た目が悲惨なところが本当に…。
『ソレ、どうしたんですか!?』
とは、夏場に蚊に刺された部分を掻いた後に、そこそこの割合で驚かれる現象だが、掻いた張本人の俺は傷を気にする事は無く、当然ながら痒みが癒えれば見る事も無くなるわけだから、そんな言葉を投げ掛けられれば必ず『?』ってなる。
で、指摘された場所を確認すれば、『刺された事』なんて既に忘れていている訳だから、残された傷を目にして『なんだコレ!?』…と。
自分自身が騙されるサプライズボディだぜ…。
それにしても、今回の大きな3本の傷はどうしても思い出せない。
寝ている間に山にでも入って、クマと格闘してきたのかな?
そして…アレだな。『ゾンビ』が実在する世界でないところに感謝かな。
この傷を通して感染し、俺もゾンビ化するところだった。アブネーアブネー。
娯楽施設とはいえ、使い方を間違えればパチンコ屋さん相手に破産してしまう事は不思議な話ではない。
最重要点はどれだけ勝ってもせいぜい20万円、負ける場合にはそれ以上。
そして普通に挑むなら、勝敗比率は2:8がいい所という部分の理解があるかどうかという部分であって、『座った直後』であれば、瞬間勝率が7割を超えるという所も重要だ。
ホール側も慈善事業ではないため、当然、客側が負けるように調整を施す。
そんな理由で常勝は夢見てはならない。
勝つコツは如何にして小さな金額でも席を立ちあがる勇気を持つかであって、それを長期間続けられるかだ。
大きく勝てると見込めば1日粘り、勝ち目がないとする金額を少ない投資額に設定する。そして、自分が座った台が他の誰かに出されてしまっても、決して悔しがらない。
そこに収束の秘密を理解すれば、あとは勝手に結果が付いて来る。
塵も積もれば…ではないが、徹底する所だけ徹底すれば、金も時間も趣味も余裕が出てくるものだ。
従って、信用の置けるホール探しは重要であり、疑わしいホールは徹底無視。入店してもデータ収集に留め、それを比較要素としてマイホームで活用するのが好ましい。
そうやって俺は勝ち続けている。
…って、言いたいな。
(いつも連勝して優越感を覚え、その先に溺れる毎月…)
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