俳優のムロツヨシさんは、１浪して東京理科大の数学科に入学し、すぐ不安になった。数学は得意なつもりだったのに授業についていけない。将来やりたいこともはっきりしない。そんなときファンだった深津絵里さんの出ている芝居を見に行き、役者たちの演技に感動した▼「僕もあっちに行きたい！」と思い、夏には大学をやめてしまったとポパイ特別編集『二十歳のとき、何をしていたか？』で語っている。本人いわく「根拠のない自信」で走り出した。３年くらいの下積みの後はテレビや映画に出て……などと皮算用しながら▼しかし芽は出ず、日雇いバイトばかりの２５歳のある日、涙が止まらなくなった。「根拠ない自信を使い果たしちゃったんでしょうね」。それからは余計なプライドは捨て「僕を使ってください」とみっともないくらいに言って回ったという▼あの独特の存在感。それを形作るに至った若き日である▼たしかに根拠など気にしたら、自信は持てない。だって経験がないのだから。しかしその自信はどこかでくじかれる運命にある。だって根拠がないのだから。それでも何かエンジンを身につけることで、人は前へ動き出すことができるのだろう▼きょうは成人の日。十分若くても、気持ちだけは若くても、自分のなかのエンジンを探りたい。「夢」というと気恥ずかしければ「好き」「こだわり」という言葉もある。空回りもむだではない。ムロ青年にとって「根拠なき自信」の時期が必要だったように。
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上記は、今朝の朝日新聞に掲載されていた（天声人語）「根拠のない自信」の全文である。
今朝の天声人語を読んだとき、自分も二十歳の頃、�犧�拠のない自信�瓩箸いΔ發里�あったことを思い出した。
わたしは二十歳の時、大谷大学文学部三回生編入受験を控えていた。わたしは文学部哲学科西洋哲学専攻分野への三回生編入を希望していたが、短期大学部仏教科の先生たちはわたしの希望に賛同はしてくれなかった。
おまけに文学部哲学科西洋哲学専攻分野の訓覇曄雄先生に西洋哲学専攻分野に編入学したいと告白すると、
「英語ができなければ取らない」
と、けんもほろろに言われてしまった。つまり短期大学部仏教科の先生たちも文学部哲学科西洋哲学専攻分野の訓覇先生にも、わたしの哲学科西洋哲学専攻分野への編入学には賛同してもらえなかった。
反対に仏教学科の先生には仏教学科へ、真宗学科の先生たちには真宗学科へとお誘いを受けていた。当時の短期大学部仏教科でわたしはかなり目立つ存在であった。
しかし二十歳のわたしは、西田哲学がやりたくって仕方がなかった。西田哲学をやるためには、西洋哲学専攻分野でカントかヘーゲルかをみっちりやる必要があった。二十歳のわたしは高坂正顕先生の『西洋哲学史』を読み、高坂正顕先生の『カント』と高山岩男先生の『ヘーゲル』は読んでいた。哲学など全く分からないままにそんな書籍を読んでいたのだ。
二十歳のわたしにも�犧�拠のない自信�瓩�あった。その�犧�拠のない自信�瓩�周囲の先生方の忠告を無視して文学部哲学科西洋哲学分野に編入学試験を受験させた。
あの時、高校時代の英語の先生に英語の本を読んでもらったことを覚えている。その先生は同志社大学で高坂正顕先生にカントを習った先生であった。その先生からも将来のことを考えるならば、真宗学科へ進む方がいいともいわれたりしていた。
しかし自分の将来に全くの展望もないままに文学部哲学科西洋哲学分野に編入学した。まさしく�犧�拠のない自信�瓩箸い辰針睥呂砲修修里�されて、である。
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