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2020年04月05日17:00

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301/302冊目 『ブルー・ローズ 上/下』

馳星周著

>とある理由から警察を退職し、探偵業で糊口をしのぐ日々を送っていた元刑事・徳永のもとに、かつての上司で今や警視監の井口から、失踪した愛娘の捜索依頼が舞い込む。捜索を続ける徳永の前に、優雅なセレブ夫人たちの秘密の集まりが垣間見えてきた―。官能と狂気渦巻く、馳ノワール新たなる傑作長篇。

〜官能と狂気渦巻く
狂気渦巻き過ぎ。
何でもありのバーリトゥードっつーのは、逆につまらんもんです。
折角上巻で積み上げてきた淫靡で妖艶な世界観が、下巻のまるで中東の紛争地帯の如き暴力の嵐で全てブチ壊し(哀)
一ページ毎、一行毎に作品を楽しもうという気力が萎えていきます。
主人公が藻掻けば藻掻くほど、状況が悪化していくっつーね。

「イヤ、お前はもう何もすんなッ!」 ← コレが偽らざる率直な感想ですね。

▼△▼ネタバレ注意△▼△

政財界の大物が通う秘密SM俱楽部の話。

▼△▼ネタバレ注意△▼△

丹念にサディストの倒錯を描き出し、読者を甘美な退廃の世界に引きずり込んでおいて、理不尽な暴力で全部リセットとは余りの荒業。
公安警察と刑事警察、背後に蠢く警察内部の権力闘争が最終的に都心でのドンパチにまでエスカレートしてしまうというリアリティの無さ。
勿論、特殊な性癖の暴露は人生の危機だが、だからって何十人もの死者を出すような案件かッ!?
もっと違う落とし所あるだろッ!というツッコミが終始頭から離れない。

主人公徳永の暴走に巻き込まれる周囲の人間が不憫でなりません、マジで。
過去色んな作品で外道・悪党・人間のクズを見てきましたが、これほど恩を仇で返す男を俺は知らない。
元刑事とはいえ、その超人的戦闘力も??? オイオイオイ、ハリウッドのスパイ映画かっつーのッ!!
っつーか、公安があんなに間抜けか? 現役の公安警察官が読んだらブチ切れるレベル。
尖りに尖ったエンタメ性だが、リアリティの膜を押し切れてない。

普通にセレブ主婦の秘密を嗅ぎ回る探偵モノでいいじゃん、何で血みどろのアクションバトルにドーピングしてんの?
上巻では嫌みタラタラの皮肉屋で読んでて好感は抱きませんでしたが、それでもその確かな捜査力で一歩ずつ真実に近付いていく様は静かな興奮を与えてくれました。
打って変わって下巻じゃ、纏わり付いてた倦怠感は吹っ飛んで、謎のヤル気で周りの人間全てを不幸にしてしまう疫病神にジョブチェンジって、誰得?

上巻の、あの知らない世界に初めて踏み込むときの知的好奇心の高揚、ワクワク感を返してッ!


上巻★★★☆☆ 下巻★☆☆☆☆
★★☆☆☆
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