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2019年12月10日17:20

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映画備忘録#138「アナと雪の女王2」〜誰がエルサを呼んだのか?/サーミ人の文化

サーミ民族について色々と調べたことを文字通り「備忘録」として書き残しておきたいと思います。

まず先の日記(https://mixi.jp/home.pl#!/diary/26060934/1973870930)も書いたサーミ人の土着の歌「ヨイク」…これはサーミ人の文化全般に渡って歌われる、伝統歌謡全般を指します。基本的にヨイクには歌詞がない場合と短い歌詞がある場合があります。また叙情的な歌詞を持つものもあります。多くの場合無伴奏でうたわれましたが、現在は打楽器などの伴奏を付けることもあります。ヨイクの旋法は多くの場合五音音階です
が、それに収まらない音高も自由に用いる、とのことです。
つまり…ダンスミュージックもあれば、"聴かせる”歌もある、ということですね。
「アナ雪・2」での、エルサだけに聞こえるあのヨーデルのような形式のヨイクは、サーミ人の宗教的儀式に於いて歌われる特殊なものです。



サーミの宗教は一木一草、全てに精霊が宿り、それを信仰する…所謂、日本古来の『八百万の神』の概念と同種のものです。
サーミ人にとっては、「火、風、水、土」…の4大精霊が信仰の対象となります。
これらはエーテル(気のようなもの)だけで構成された、実体を持たないものです。
「アナ雪・2」に於いて、(風の精霊以外)目に見えるものとして擬人化した背景には、スイス出身の16世紀の医師・錬金術師パラケルススが、古典的四元素を下敷きにして、著書『妖精の書』の中で提唱した、それぞれの「形を持った」いわゆる"妖精"像に準拠したものと、他国の伝承に基づいたものなどがあります。

ブルーニ(火の精霊)
ブルーニは英語名で、元はラテン語でサラマンダーです。元々はギリシア神話に登場しているそうです。トカゲじゃなく山椒魚だそうです。

ゲイル(風の精霊)
パルケルススの書では美しい女性の形で表現されており、シルフと呼ぶものだそうです。
これもギリシア神話からのモチーフによるものだそうです。

アース・ジャイアント(土の精霊)
同じくパルケルススによれば、土の精霊はノームという妖精として登場します。
ただ、ノームは15センチ程の小人族なので、ディズニーはミヒャエル・エンデの「ネバーエンディング・ストーリー」の岩の巨人からネタを引っ張ってきたのではないでしょうか。推測ですが。

ノック(水の精霊)
パルケルススによると、ウンディーヌとして描かれています。これはジャン・ジロドゥの戯曲『オンディーヌ』の元ネタでも有名です。
ただ、「アナ雪・2」では水の馬として登場します。
これはケルピーと呼ばれる、スコットランドの民話に登場する水の精で、英語ではウォーター・ホースとして、映画にもなりました。ネス湖のネッシーも地元、スコットランドではウォーター・ホースではないか、と言われているそうです。

…これら四つの精霊の調和を以て、人々の疾病の治療を行い、 狩りでいい獲物が獲られるように、あるいは天候に恵まれるように祈るシャーマンのことをサーミの文化では、ノアイデと呼ばれています。
ノアイデは絶大な力を有する、部族の守護者なんですね。
そしてノアイデはヨイクを通じて自然の精霊たちと交感するわけです。

…結論から言えばエルサは即ち、ノアイデ…なんですね。

多くのブロガーさんやレビュアーさんもご指摘の通り、エルサが聞いたヨイクの囁きは己の血の中に眠るノアイデの…内なる声だったんだ、と思います。

…そしてアートハランとはエルサの深層心理のいちばんの核となる場所ではないか、と思うんです。
エルサはダークシーという海峡を渡ってアートハランを目指して行きます。
海には「無意識」という意味があります。もともと「水」と言うものは生物にとってはなくてはならないもので「生き生きとした生命力」でもあり「愛情」の象徴でもあるのです。


また別の連想からすれば、「社会の荒波に繰り出す」とか「新しい世界への船出」などという言い方からもわかるとおり、その先には、何があるかわからないが、とにかく自分の夢や可能性を信じて船出すると言う意味から、新しい可能性を表す場合もあるでしょう。
時には「生命を生み出す」母性でありながら、時には「大津波によって全てを飲み込んでしまう」破壊の母性でもあります。生と死を生み出す混沌とした存在でもあるわけです。
エルサは内なるダークシーを奥へ奥へと進んで、アートハランという「本当の自分」に出会うんですね。


※真ん中の画像は時計回りに、サラマンダー、シルフ、ノーム、ウォーター・ホースです。
右の画像はノアイデです。

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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年12月10日 17:43
    エルサは「雪の女王」じゃなくてノアイデ(シャーマン)だったんですね。
    そして、現実世界の女王はアナが承継する、と。こうなるとアナは完全に脇役ですね。笑

    タイトル『アナと雪の女王』はアナが主役って感じですけど、結局「エルサの物語」で一貫してしまいました。
    製作陣は興に乗って作るうち、気づいたら路線が変わっていたのかしら? ちょっと知りたいですねウッシッシ
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年12月10日 19:11
    > mixiユーザー 原題の「FROZEN」にはAセクシャルという性的な意味をもあるそうです。これはBLGTのトランスジェンダーに派生するもので、いわゆる不感症…全く性的な欲求を持たない人のことを指す言葉らしいです。
    エルサは前作に於いて、Aセクシャル…FROZENだとの指摘があったそうです。
    「アナ雪・2」では、Aセクシャルではなかったけど、性的なものを超えたもの、、日本的に言えば巫女さんになっちゃいましたね。

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