王妃の紋章

王妃の紋章おもしろかった。前作のラヴァーズがメロドラしているのに比し、こちらはイーモウ、初期に戻ったかのような情念のドラマである。妻への家路を待つまでもなく、ここですでにコンリーを迎えて原点回帰している。ルージュも含めた、中国の山口百恵を主演にした紅いシリーズ、そこで描いたような情念がこの作品において繰り広げられる。色使いは、今や権力使い放題のイーモウは彼の得意とする色々色彩を惜しみなく使い放題し、カイゲすら何度も使えないような宮殿を今作においても縦横無尽に使いまくる。父性社会で苦しむ女性や若い男と愛を交わすこと、これ紅いシリーズなり。話的には単に夫婦喧嘩、でも、王宮の端から端までもを巻き込んでの一家絶滅の物語、エンドロールの優しい歌がその情念の虚しさゆえに心に染みるものとなる。おもしろかった。

紅いコーリャンや紅夢、秋菊がどこのレンタル屋にもなく、最近のエンタメしているイーモウしかないのだけれど困ってしまう。


ps
ヒーローが音楽、グリーンデスティニーのタンドゥンだったけれど、この作品ではグランドマスターの梅林茂となる。