覚え書き
この頃の黒沢清は意味がよく分からんやったから、印象に残る。
『カリスマ』
*世界の法則を回復せよ。
*冒頭でふたりを助けようとした主人公。
*カリスマという名の木。森を枯らす毒性を持つにもかかわらず、他の木々はその木に魅了されている。
*森の生態系の変化。作業員たちはインテリ層、資本系に目もくれない。変革の実現に向かう。→ ひょっとしてディレクターズカンパニーの先輩方の影響?時代性?後の黒沢からはポリティカルなものは感じない、と思う。定かではないが。
*音の使い方がおもしろい。人物たちのいる空間を感じさせるような音の使い方。使わないところとの間隔の置き方。後の交響楽あるいは劇伴音楽の使用とは違った表現を企てている。
『回路』
*孤独の世界に引き込む幽霊たち。
*孤独な者がひとりではないことを共感させる。
・小雪が言う「私はひとりじゃない」。
・加藤や麻生が言う「友達」。
*実態として在る幽霊たち。愛を求める幽霊たち。
・死者の世界に惹き寄せられる人々は自殺する。
・開かずの間に入った人々は疫病にかかったように死ぬ。
*パンデミック状態を引き起こす街空間。
*飛び降り自殺する女性もリアルを感じさせ、唐突に出てくる落下する飛行機もダイナミックであり、港に行くクルマから見る風景はCGパースの如く表され、表現がいろいろおもしろい。
*園子音の自殺サークルよりは意味不明ではないけれど、三池崇史のオーディションより意味不明なとこあるけど、唐突に出てくる開かずの間にしても意味不明性はおもしろい。
*この頃はパルスや低音つかっての不快音など、音の演出がおもしろい。
*製作費枠内の有限ある使い方だろうけれど、CGはこの作品の命とばかりに苦心したであろう、幽霊たちの表情や突っ込む飛行機やあれこれ、まだカクカクと動いたりメタリックな表層感じたりさせるキャメロンより、凄い。
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