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2020年05月29日23:45

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ラストレター



  短いショットや独特のモンタージュ、市川崑が好きと言うけれど、市川とは違うグギャゴギャなモンタージュが魅力なのだけれど、スコセッシがアクターたちを活かしてかいつものバコグギするショットの積み重ねをアイリッシュマンではしなかったように、イワシュンは今作ではけっこうスムーズにつなぐようなアクセントのモンタージュである。空撮のカットインも気持ち良さ表している。なんだか仙台に行ってみたくなる感覚もたらしてくれる。所謂ラスレタ、『ラストレター』よかった♫ 岩井俊二のテクストにおいて、フリをする綺麗なヒト、すなわちプリティ・プリテンダー、所謂プリプリが多く出てくるが、今回の作品もそうである〜のプリプリ。ラヴレターもこうしたプリプリだったけれど、ほとんど同じ感覚である。ラヴレターの時期はほとんどふたりのヴェロニカもどきで、ちょっと青ざめたけれど、岩井俊二、所謂イワシュンらしく、オブセッションが表され、そこから〜の救済、そして再生がキレイに表され、よかった(註1)。スパイクジョーンズ観る時も、いわゆる無垢にならなければ近づけない部分あるけれど、イワシュンの場合は、特に今作は更に、それもコバルト文庫の読者のようにならなければならない。スパイクジョーンズの場合は、無垢にならなければいけないとはいえ、もまれているアメリカ社会に生きるヒトのように、毒にも免疫力あること必衰であるが、イワシュンの場合は抵抗力ない清純で日本的でなければならない。
  とは言ってもイワシュン、葵の上も紫の上も、サブカルの上をいくぐらいの日本の知識がたくさんある上でのナチュラルな策略家なものがあるのが、彼のストラクチャーにあるのがすごいなとなる。その上で、彼のストーリーテリングも心情もユーモアも作家として成り立たせている。その情緒のあり方は策略的ではなく、当然に岩井俊二らしい自然としてある。豊かさ、というより朗らかである。所謂ラスレタ或いはラレ、『ラストレター』よかった♫


註1  岩井俊二が流行った第一の時期(後で考えればこの時期しかなかったが)は猫も杓子も岩井俊二だの王家衛だので、おまけにふたりともスムーズではない、寧ろアマチュアな感覚のモンタージュで、流行りすぎなのもあって敬遠していたけど、今は逆に、そのスムーズではないモンタージュに魅了される。



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