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2021年05月18日18:43

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HFT( High Frequency Trading:高速高頻度取引業者)

昨年3月に急落した日経平均株価は、今年2月、30年ぶりに3万円台に達し、今も高値水準を維持しています。株式投資を始める人も増え、昨年度の株取引の口座開設数は357万件とコロナ前の1.7倍。証券会社は現状を、「金融緩和による“カネ余り“がマーケットを押し上げている」と分析しています。

そして、今、世界の株式市場で存在感を増しているのがHFT (High Freqency Trading:高速高頻度取引業者)です。一般の投資家には不可能なスピードで株を取引して、荒稼ぎする知られざる集団の事です。 アメリカでは1年間で1200億円も稼ぐ高速取引業者も現れています。実は彼等、高速取引業者は既に日本にも進出しています。東京証券取引所の1日の売買代金約3兆円の内、約半分を彼等が占めています。彼等の取引スピードは、何と100万分の1秒と言う高速です。

現在、金融庁に登録して日本で活動している高速取引業者は55社で、海外の企業がずらりと並んでいますが、その中に一社だけ日本の企業「ダルマ・キャピタル」が有ります。

投資家から資金を一切集めず、自己資金だけで取引して株式市場で存在感を増すダルマキャピタルは、1日に数百億円を売買して、毎日利益を出しています。社員は僅か9人。しかし、皆、東大や京大の理系の大学院を卒業したエリートばかりで、株で儲ける事よりも海外のライバルに取引の速さで勝つ事に、やりがいを感じているそうです。つまり商売人の集まりと言うよりは、最先端の情報技術集団と言うのがダルマ・キャピタルの正しい姿とも言えます。

高速取引業者は具体的にどうやって利益を出すのでしょうか?株取引は一番高い値段で買い注文を出した人と、一番安い値段で売り注文を出した人が最初に取引が出来るのが原則です。高速取引業者は株式市場のほぼ全ての銘柄を1日に何千万回も売り買いする事で、(極端な場合は利益1円で取引、と言う薄利多売)で、利益を積み上げて行きます。速さと回数がポイントな訳です。

ダルマ・キャピタルの塩谷社長は、1995年、リーマン・ブラザーズに入社しましたが、2年後に退職しました。退社の理由は、既存の証券会社の株取引は、サイコロを振っているに過ぎないと言うかコンピューターを使っている割には、サイエンスとしては稚拙だと思ったからだそうです。そして出会ったのが株の高速取引の技術でした。一見、無秩序に見える相場の値動きに有る法則を見つけ出して論理的に高速処理する事に魅力を感じたそうです。

今年4月ダルマ・キャピタルは、東芝研究開発センターが金融取引向けにカスタマイズした疑似量子計算機「シミュレーテッド分岐マシン」にダルマ・キャピタルの持つHFTテクノロジーを融合する事で、アメリカや中国が莫大な予算を掛けて開発する量子コンピューターの技術を従来のコンピューターに再現して、処理スピードをこれ迄の10倍に高め、東京証券取引所のコロケーションエリア(同一建屋内)に置いて、日本株式を対象にHFT取引を行って、疑似量子計算機「シミュレーテッド分岐マシン」を活用する投資戦略の有効性を検証する世界初の取り組みを行うと、発表しました。検証結果が良好で有れば、ダルマ・キャピタルは、今夏には、この新型コンピューターを本格稼働させる計画です。

最近、IT分野の新技術でシリコンバレーや杭州に置き去りにされてばかりの日本のIT技術開発分野での久し振りに明るい話題です。

写真は左から、ダルマ・キャピタルの持つHFTシステム、東芝の疑似量子計算機「シミュレーテッド分岐マシン」、ダルマ・キャピタルの俊英達です。
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