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2019年10月17日10:02

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ウェスタン WE555

先日、サウンド・デンの藤本社長からメールが届いた。
「ウェスタン・エレクトリックのWE555が売れそうなので、今鳴らしています。よかったら聴きたいCDを持って聴きに来ませんか?」

皆さんはWE555をどのように鳴らしますか?
ヴィンテージLPプレーヤーにSMEのアーム、オルトフォン・カートリッジ、アンプは同じくWEの真空管式でしょうか?

しかし、サウンド・デンではCDプレーヤー+デジタルアンプで鳴らすので、これはどんな音になるのか?楽しみだ。

行ってみると、WE555に例の38センチ・励磁スピーカー(オンケン箱)と放電式ツイーターをつないで調整が終わったところだった。

吟味した8種類のCDを持参して聴かせてもらった。(写真参照)
以下にその感想を簡単に述べる。

1.トスカニーニ・NBCによる新世界(第1,2楽章を試聴)

ウェスタン・エレクトリックのスピーカーと言えば、先ずはトスカニーニを聴かなければならない。
トスカニーニの録音と同時代のスピーカーだからだ。

一聴して驚いた。僕は今までトスカニーニの録音から何を期待していたのだろうか?

小型スピーカーで聴くと密集してうるさく感じる中高域が、ホーンの広がりによるためか?適度に分散して、天馬が空を翔るように、気持ち良く聴こえるではないか!
低音は38センチ・ウーハーがビシッと締めるように響かせる。

トスカニーニの録音は立派な演奏であることは認めるが、暫く聴くと疲れてくる。それは密度が高すぎる中高域の音のせいでは無かったか?これなら長く聴いていても疲れない。

2.マーラー 一千人の交響曲(第一部)アバド・ベルリンフィルO
これは、音響自体は宇宙的な広がりを感じさせるが、中高音がやや詰った感じに聴こえた。複雑なマルチ録音がスピーカーに合っていなかったのかも知れない。

3.チェリビダッケ・ブルックナー交響曲第8番(第4楽章)
僕はチェリによる本曲の東京公演は聴いていないが、その公演はかくや?と思えるようなすばらしい音だった。
チェリの録音は、こういうオーディオで聴くと生えるな!と思った。実演主義のチェリの意図を感じることが出来た。
これでは何も分からないと思いますが、i-phoneの録画をご参照下さい。(これはEMI正規盤で、東京ライブの録音ではありません)

4.ベーム/指輪・ハイライト(バイロイト・ライブ)
僕はバイロイト詣の経験は無いが、ドイツのオペラハウスでオペラを聴いたことはある。
その時、ソプラノのアリアが顔の向きによってピーンと耳に響く瞬間があった。
この録音でもその時を思い出すような響きを味うことが出来て、あっ、と思った。
バイロイト歌劇場の響きを想像することが出来た。

5.黛敏郎・涅槃交響曲/外山雄三指揮・N響
第一楽章の鐘の音がリアルだった。第二楽章のお経の独唱・合唱も、目を閉じて聴いていると、その場で演奏されているような実在感を味わうことができた。
この曲は実演を聴くと結構感動するだろうな、と思った。
実演を味わう機会はめったにないと思うので、このオーディオ試聴は貴重だった。

6.サム・テイラー/ハーレム・ノクターン
以前にマイミクの方が、ハーレム・ノクターンをヴィンテージ・オーディオで聴くとまた格別ですよ!と言われていたのを思い出し、持参したCD。
成る程、格別だった。大きなダンスホールでこの音を鳴らせば、みんなダンスを忘れて音に聴き入るだろう。
藤本社長曰く「まあ、このスピーカーでラッパが鳴るのは当然でしょう」(笑)

7.カウント・ベーシー・オーケストラ
これも上手く鳴って当然のソース。やはりベーシーはこれくらいのシステムで聴くと最高だ。
そこいらのジャズ喫茶の音とは格が違うというか?スケール感が違う。
また藤本社長曰く「売るのが惜しくなったな、ここでジャズ喫茶でも開いて聴くのも悪くないな」

8.ショスタコービッチ交響曲第4番/チョン・ミュンフン指揮フィラデルフィアO
ショスタコービッチの交響曲をどう表現したらよいだろう?

元素の周期律表で例えるならば、マーラーの交響曲はそれ以前の曲と比較して、電子の殻数が1−2殻増えたような複雑さを感じさせるが、ショスタコの音楽は更にその殻内の電子数(密度)が増えたような音楽だ。

ショスタコの音楽がなかなかポピュラーにならない理由は、恐らくその複雑さと高密度故であろう。
中でもこの第4はとりわけ複雑で高密度、並みのオーディオで聴いたのでは中々その真価は伝わってこないだろう。

さてこれはどうか?と思って聴いてみたが、これが今まで聴いたことの無い物凄い音で鳴った。
僕はショスタコの第一交響曲の生演奏をピッツバーグで聴いたことがあるが、曲の性質上、それを超える音響のように思えた。
やはりショスタコの交響曲はオーディオを選ぶんだな、と思った。



PS)このWE555は売れたそうです。もうこの音響を聞く機会は無いだろう。
しかし、一度よいオーディオで聴くと、他のオーディオで聴いてもその音を想像することが出来て、音楽を深く楽しむことが出来る。
よい経験をさせてもらった。







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