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2021年01月28日20:41

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小説「騙し絵の牙」塩田武士

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あらすじ
出版大手「薫風社」で、カルチャー誌の編集長を務める速水輝也。
笑顔とユーモア、ウィットに富んだ会話で周囲を魅了する男だ。
ある夜、上司から廃刊の可能性を匂わされたことを機に組織に翻弄されていく。
社内抗争、大物作家の大型連載、企業タイアップ・・・・。
飄々とした「笑顔」の裏で、次第に「別の顔」が浮かび上がり――。

俳優の大泉洋さんをあてがきにした前代未聞の作品。
この作品を読んでいると、大泉洋さんの為人がよく分かるような、そんな感覚さえ抱いてしまう。

出版業界を取り巻く環境は崖っぷちにいるようなものだ。
映像化がかからないと、重版が中々かからなかったり、電子書籍や図書館の在り方についての問題提起をしているため、やはり本は購入してなんぼなんだな、と思ってしまう。
図書館は気軽に本を借りられるのだが、作家にとっては死活問題。
こういう出版業界を取り巻く現状を舞台にしているため、自然と読み手は夢中になってページを捲らざるを得ない。

最後の最後で速水の過去が明かされるため、彼の「なぜ編集者になったのか?」という動機づけにすんなりと腑に落ちたほどだ。

いやぁ、凄く面白かった!
時間を忘れて、読み耽った程だ。
読書が好きならば、本作は気に入ること間違いなし!


おすすめ度 ☆☆☆☆☆


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コメント

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