読書日記「二十六人の男と一人の女」ゴーリキー 作ゴーリキー初期・中期の中編集。さすがにインテリや貴族は出てこない。農村を捨てて都市部の底辺を彷徨うしかなかった、先の見えない人生を往く人々の物語。かなりアクの強い個性的な人物を描いて、リアリズ
読書日記「そら」吉田知子選集3土俗的というほどでもない、ちょっと古びた地方都市の日常ではあるものの、知らないうちにズルズルとシュールレアリスムが進行していく。自分にとって吉田知子の楽しみはその辺りなのだが、この短編集を見るとかなり器用にいろ
読書日記「リチャード三世」シェイクスピア 作若きシェークスピアの出世作。権謀術数を労して次々と親族を殺害し、ついには国王にまで昇りつめたリチャード三世の破滅へ至る物語。15年間をひとつの舞台に凝縮し、あれよあれよという間に事態が動いてゆくおも
読書日記「狂気の巡礼」ステファン・グラビンスキ 作自分にとって怪奇を意図して書かれた怪奇小説というものは、ややもすれば単純なものとなってしまうか、無害すぎてしらけてしまう可能性がある。そこを救ってくれるのが華麗に彫琢された文体とその美意識で
読書日記「真昼の悪魔」遠藤周作 作サイコパスという存在がまだあまり知られていない時代にかかれた作品。他者への同情心をまったく持たない乾いた心の持ち主である女医。彼女がひそかに巻き起こす病院内での奇怪な事件。非情な実験台とされる患者。近づいて