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2020年08月03日20:53

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「三四郎」

読書日記
「三四郎」
夏目漱石 作
(新潮文庫)

前期三部作の一つめ。

主人公三四郎は受け身な性格とはいえ、あまりにもぼんやりしている印象だ。地方から出てきて始めて東京の文物・風俗に出会い、大いに驚いた旨は書かれているが、そこから能動的に考えてみることはしない性格のようだ。
人から意見を求められても、何も感じなかった・どうとも思わなかったということが多いが、それはたぶんよく分からなかったということだろう。しかし当時希少な東京大学への新入生、しかも文学部でありながら絵画を見ても音楽を聴いてもよくわからないといったとぼけた感覚でいいのだろうか?もう少し文化的な分野についてこう思う、こうしたいといった知的好奇心はないのだろうか?

主人公がとりわけ内省的でもなく、近代日本社会の矛盾を問題意識にもしていないので、軽快でポップな青春小説といった趣がある。センテンスが短く軽快な弾むような読書感。時代を忘れてまるで現代の学生だと思って読んでも違和感はないと思う。
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