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2020年07月13日21:09

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「水車小屋攻撃」

読書日記
「水車小屋攻撃」
エミール・ゾラ 作
(岩波文庫)

短編作家としても屈指の面白さを持つゾラ。変幻自在の自由な作風の中から選りすぐりの8編を収録。

光文社古典新訳文庫でも読んだが、ゾラはなにが面白いか知っている作家。飽きさせない。人間模様を描くのに展開の妙味を外さない。

「水車小屋攻撃」:「風車小屋だより」ならぬ「水車小屋攻撃」。タイトルから想像つかなかったが、普仏世相時に臨時にフランス軍の前線基地とされた農家の悲惨な物語。危うく危機を脱して主人公たちが助かるのか?と思いきや戦争とゾラは容赦がない。

「ジャック・ダムール」:戦死扱いにされていた男が帰ってきても居所がない。このあいだ読んだルドゥレダの「ダイヤモンド広場」でもそうだったが、なぜ男は勇んで戦争に参加したがるのか?帰って来た主人公がしだいに諦念に至るところが切ない。

「一夜の愛のために」:窓辺の淑女に恋焦がれる純朴な青年。途中までは内気なあまりに恋愛を理想化しすぎる青年のよくある話だが、彼女と知り合ってからは一転サディスティックで異常な世界へ突入。さすがに素朴な者にそのままでは平和は訪れない。
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