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2020年07月10日21:19

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「消えた心臓/マグヌス伯爵」

読書日記
「消えた心臓/マグヌス伯爵」
M.R. ジェイムズ 作
(光文社古典新訳文庫)

イギリス怪奇小説の本流を行く古典短編集。

「物語そのものは、さして価値のあるものではない」と作者のジェイムズ自身が紹介しているが、もちろん気軽に楽しんで読むもので、作者も本業ではなく余技として書いているゆえの謙遜であろう。

それはそれでよいが怪奇小説の出来は、怪異自体をどこまで具体的に書くかによって決まるところがあり、書きすぎるとどうしてもしらけてしまう。
この作家の場合そこはギリギリの部分があって、悪魔的なやつの仕業で異変が起きるのだが、その悪魔的なやつ(モンスター)は闇に潜むように黒い毛むくじゃらの痩せこけた姿を垣間見せたりする。ここがやや残念なところで、はっきり見えないまま終わるところはまだ許せるが、そのモンスターがいるという怪異の理由自体がつまらないと思う。
悪魔はいてもいいが何が悪魔かわからない。あるいは人間の心理的な作用で出現してしまう。といったほうが迫真性を感じる。ここは多分に趣味的なものだが仕方がない。人間の外にある悪魔の仕業にしてしまうところが幼稚な感じがして、それなら宇宙人だってかまわないわけだから。もっともそこを楽しむのがエンターテイメントだといえばそうなので、要は出来不出来と読む側の都合だけなのかもしれない。
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