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2020年07月07日21:28

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「差別はいけない」とみんないうけれど。

読書日記
「差別はいけない」とみんないうけれど。
綿野恵太 著
平凡社

しばしば鬱陶しがられる「ポリティカル・コレクトネス」。ここを糸口に差別の構造をアイデンティティとシチズンシップの対立から考察。現代社会の見取り図的好著。

どちらかといえばアイデンティティというものに昔から疑義を抱いているので、やはりシチズンシップの立場を肯定してしまう。まだまだ「ポリティカル・コレクトネス」しかないと思う。

統治功利主義の考え方から、科学的に裏付けられたマイノリティの低い能力と差異の解消にかかるコストの問題があるにしても、われわれが日常経験する職場やその他組織はしょせん100人以下の少人数であり、その中では個体差の方が圧倒的に大きく、能力の高い黒人や女性はざらに存在するので、ここに口実としての基本的差異を当てはめることはなにより差別的で非効率だ。

「ポリティカル・コレクトネス」に問題があり、仮に反差別に反対する理由が道徳的に公正であったとしても、今現在起きている過酷な差別被害をくい止めることが緊急の課題である。なにより差別する側の卑劣さや暴力性をみると、大きな問題として差別の理由を考察しているレベルとは別の気味の悪い現実がある。
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