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2020年03月28日21:15

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「白の闇」

読書日記
「白の闇」
ジョゼ・サラマーゴ 作
(河出文庫)

ある日突然視界が真っ白になり視力を失う恐怖の感染症。ほぼ全国民が罹患し都市が機能を失った中で、なおも生き残ろうとする人々の格闘を描くパンデミック小説。

サラマーゴ独特の区切りのない会話・地の文連続体は、このようなスリリングなパニック小説に際してはスピード感があってぴったりだ。ストーリー性のある作品でパニック映画を見ているようだ(実際に映画化された)。例えば感染して隔離された住民との接触を、まるでゾンビに会ったかのごとく恐怖していきなり発砲する軍人。また、使われなくなった精神病院に隔離された常態で、患者たちを支配しようとする悪党グループとの戦いなど、娯楽性に寄った内容となっている。
白い闇に閉ざされた人間の自己や、人間存在の意味・社会のあり方に対する直接的な問いかけはないが、老若男女の人生、危機に際してのつながり、夫婦の絆などのドラマはたっぷりとある。
こういった通俗性が万人受けしたのだろうか。暗澹とした世界ばかりで、読んでいてけして楽しいものではないが、これもどうしても現在のコロナウイルス危機と重ねてしまうせいかもしれない。
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