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2020年03月23日21:08

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「俺の歯の話」

読書日記
「俺の歯の話」
バレリア・ルイセリ 作
(白水社)

世界一の競売人を名乗る男が、曰く付きの歯をオークションで売り出す。全てがイカサマ。無くなった俺の歯をめぐるエピソードを手を替え品を替えモザイク的に演出した奇妙な味わいの小説。

まともに一読できるふつうの方法で書いても充分おもしろい内容だが、各章で手法を変え二重三重に構成されていて、それはそれでおもしろい。主人公もとんだ食わせ者だが息子もロクでもない奴で、これらの実話を書き留めているのが作家志望のフリーターだったという倒叙法で書かれている。オークションにかけられた歯をめぐる小話も、競売予定のガラクタコレクションに付けられた小話も楽しい。このでっち上げた競売品エピソードと、離れて暮らす息子が仕掛ける事件、作家志望の青年との競売企画が大きな物語として進行し、最後に作者の解説と、出来事の年表まで付いている。
もともと美術展とのコラボレーションから始まった物語らしく、なにやら一冊の展示カタログを読んでいるような趣だった。
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