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2020年02月10日20:14

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「ベスト・オブ・ドッキリチャンネル」

読書日記
「ベスト・オブ・ドッキリチャンネル」
森茉莉
 著
(ちくま文庫)

1979〜1985年にわたって書かれた人気のテレビ番組批評から選りすぐりを編集。森茉莉最後のエッセイ。

もちろん私も同時代を生きた番組群なのだが、私自身はあまりテレビを見るほうではなく、ましてドラマとなると全くと言っていいほど見ていない。したがって森茉莉の番組評にはそんなものかという感想しか持てないのだが、歯に衣着せぬ物言いでとても面白い。

大川橋蔵・小川宏・沢田研二・萩原健一・青島幸男・竹下景子・山口百恵・北野武・竹村健一・タモリ・B&B……ぞっこん惚れこんで賛辞を送るタレントから徹底して批判・糾弾するタレントまで様々。直感的好悪の部分も多いのだろうがなるほどとうなずけることもある。俳優のほんのちょっとした所作や目くばりなど、それとは気付かぬ細やかな演技によって作品は倍にもよくなるもので、このどこがどうだからと言えないくらいの理由があるのが芸術の秘密だろう。

テレビ批評以外にも父鴎外との思い出や、自身の文芸界での交流なども頻出していつもの楽しさがある。それにしても幼い頃人力車に乗せられている話から「ひょうきん族」や「刑事コジャック」まで出てくるのだから、森茉莉が生きた時代の変化の大きさに驚く。
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